【深掘り】那覇市長選、候補者の擁立大詰め 知念氏「相乗り」かなわず 翁長氏「反新基地」で浮上


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 10月23日投開票の那覇市長選に向け、城間市政与党の「オール沖縄」勢力は県議の翁長雄治氏(35)を擁立する方向で最終調整に入った。副市長の知念覚氏(58)は与野党を問わず推薦されれば歓迎する姿勢を示すが、相乗りについては自民、オール沖縄の双方で反対意見が強い。結果的に知念氏は野党・自民の推薦候補として擁立される見通しだ。 

 19日夕、オール沖縄の市長選候補選考委員を務める照屋義実副知事、高里鈴代氏が、県庁内で知念氏と面談した。関係者によると、知念氏はオール沖縄、自民のどちらの立場で出馬したいかについて明言しなかったが、「今のオール沖縄は翁長雄志知事がつくった頃のオール沖縄ではない」と語ったという。

 知念氏は、オール沖縄から保守層が離れていることや、市議会で時にオール沖縄と自民などが対立して政局的になる現状に不満を持っているとされる。

 知念氏は与野党を問わず多くの会派から推薦を受けることを理想としている。だが、オール沖縄内では辺野古新基地建設への姿勢が明確でない知念氏への不信感もあり、自民の知念氏擁立が濃厚になったことで、辺野古移設反対が明確な翁長氏擁立へかじを切った。

 翁長氏は、前県知事の故雄志氏を父に持つ。一方、市職員出身の知念氏も那覇市長時代の雄志氏に抜てきされ、側近として支えた。こうした関係性を踏まえ、翁長氏は当初、「知念氏がオール沖縄から市長選に出るべきだ」との考えを示してきた。

 オール沖縄関係者は「自民の知念氏擁立が決定すれば、雄治氏はオール沖縄から立候補する大義名分ができる。選考は遅れているように見えるが、時機をうかがっている」と解説。自民側を注視しながら、翁長氏擁立を打ち出す時期を探る。

 一方、県議会は玉城デニー知事を支えるオール沖縄の県政与党と、自民を中心とした野党・中立の勢力が拮抗(きっこう)している。翁長氏が市長選に出馬すれば与党の議席減となり痛手だが、24日までに辞職した場合、県知事選と同日の9月11日投開票で県議補選が行われる。両陣営は知事選との連動や県議補選の可能性も視野に入れ、駆け引きを続けている。 (伊佐尚記まとめ)

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