新型コロナウイルス感染者の発生届を高齢者など重症化リスクが高い人に限定化する政府の見直しについて、沖縄県は結論を出さず議論を継続するとした。背景には、全数把握を基に築き上げてきた県対策本部が所管する事務の範囲が狭められ、受診・入院調整に混乱が生じることへの懸念がある。発生届対象外の感染者向け窓口として「フォローアップセンター」の設置が各自治体に求められていることにも課題は多い。
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27日の専門家会議で医師の佐々木秀章委員は、対象外の感染者を宿泊療養施設や入院待機ステーションへ搬送するには医師による発生届が必要で、フォローアップセンターが実質的に登録業務を担うことになると指摘。それ以外にも健康不安の相談や医療機関の紹介業務なども想定されると説明した。
既に整備されている自宅療養者向けのコールセンター業務も担う上に、医師配置も必要になるため、県の糸数公保健医療部長も「高度な振り分けが必要で、システム作りは気が遠くなる。立ち上げは簡単ではない」と慎重な見方を示した。
沖縄だけでも課題が山積する中、26日にあった厚労省による自治体向け説明会では、全国から多くの質問が上がった。具体的な解決策は示されなかったという。こうした経緯から、県は国への情報収集を続けている。
発生届の限定化は緊急避難措置とされており、9月半ばにも、新型インフルエンザと同様に特定の医療機関から定期的に発生報告を受ける「定点調査」への移行も検討される。県対策本部内では、時限的措置のために時間や労力を割くことに消極的な意見も少なくない。
(嘉陽拓也)
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