沖縄県内の公立学校で教員が不足している問題で、学級担任の未配置数が9月当初で52人に上っていることが12日分かった。特に小学校は6月から3倍以上増えており、42人が未配置。悪化し続ける現状に、関係者からは過重労働による病休者の増加を懸念する声や、専門外の教員が授業を代行することでの学力低下を指摘する声もある。識者は「子どもの学習意欲低下や、業務が増えた他教員の新たな休職につながる可能性もあり悪循環だ」と指摘している。
学級担任の未配置数は9月当初で小学校42人、中学校10人、高校と特別支援校はゼロだった。専門科目担当教諭などを含めると、94人の教員が不足している。6月1日時点での担任未配置数は、小学校13人、中学校13人だった。
文部科学省の「精神疾患による病気休職者」の調査で沖縄は2020年度、全国ワーストの割合となっている。本紙は県教育委員会に、教員不足数の内訳(病休、産休、育休など)を問い合わせたが、12日時点で回答はない。
担任不在、専科教員の不在を埋めるため、各学校では体育の教員免許取得者が音楽教諭として着任させられるなど、専門外の教科を担当せざるをえない教員が多数いる。専門外の授業を受け持つ中学の40代教員は「どうしてもと言われて承諾したが、罪悪感が大きい。うまく教えられない」と話した。
半嶺満県教育長は7日の県議会代表質問で「教職員の離職や休職の増加の要因については特定できていない」と述べた。
(嘉数陽、吉田早希)
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