【与那国】迷彩色の車体に砲身が突き出た陸上自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)が17日、沖縄県与那国町の県道を走行した。ものものしい雰囲気に包まれる中、与那国空港前では地元住民らが「与那国島を戦場にしないで」などと書かれたボードを手に抗議し、日米共同統合演習の中止を求めた。
>>与那国町長「有事をなくすためやむを得ない」 戦闘車の走行巡り 「台湾軍」との訓練へ私見も
MCVを乗せた輸送機が与那国空港に着陸したのは17日の正午前だった。MCVが空港を出発し、県道に出たのは午後3時ごろ。迷彩色の自衛隊車両に挟まれる形で、駐屯地までの約5キロの道のりをゆっくりと走った。在沖米海兵隊は5日午後に与那国島に入っている。
空港前では約10人が抗議をしていた。演習に反対する住民の女性(62)は「米軍が演習に参加することで、与那国を取り巻く環境の緊張感が高まる」と憤った。 与那国島出身で現在は石垣市で暮らす女性(66)も抗議に参加した。女性は石垣市での自衛隊配備反対を訴える「いのちと暮らしを守るオバーたちの会」のメンバーだ。女性は「与那国での自衛隊配備に賛成した人たちは『米軍は来ない』と言っていたが、現実には来ている。戦争が起きるような状況ができている」と語り、演習の中止を求めた。
MCVが島西部の久部良集落を通過する際、集落内ではMCVを見ようと道路沿いに集まる人たちの姿もあった。
60代の主婦の女性は「県外に住む妹から『与那国は大丈夫か』と心配されている。(MCV)は攻撃する道具で、緊張を高めかねない」と心配そうに話していた。
一方、80代の女性は「自衛隊が住民を守ってくれるかは分からないが、島にいることで安心感はある。だがまずは、戦争を起こさせないよう話し合いをしてほしい」と話した。自営業の男性(51)は「自衛隊は町民を守るための演習はしないのか。この演習は何のためにやっているのだろうか」と疑問を投げかけていた。
(西銘研志郎)
【関連記事】
【動画あり】民家の側をカーキ色の車体が…日米演習で戦闘車の公道走行を強行