沖縄の陸自15旅団増強を検討 南西防衛の強化で事実上の師団化


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防衛省

 【東京】政府が進める南西地域での防衛体制強化に関連し、那覇市に司令部を置く陸上自衛隊第15旅団について規模拡大を検討していることが3日までに分かった。複数の関係者が明らかにした。関係者によると普通科連隊を現行の一つから二つに増やし、指揮官の階級を陸将補から最上位の陸将に格上げすることを計画している。事実上の師団化で、中国を念頭に沖縄に駐屯する部隊の増強を図る考え。 

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 年内に改定する国家安全保障戦略など安保関連3文書に15旅団の増強を盛り込む見通し。県民にとって平時の負担増につながる恐れがあり、有事に攻撃対象となる可能性も高まる。

 政府関係者によると、大規模化に伴い、普通科連隊を増やすのに加え、物資の補給や通信、施設などの部隊も増強する。

 3文書改定で15旅団の部隊増強をどの程度具体的に記述するか政府・与党が協議を続ける。師団規模が念頭にあるが県内の反発などを考慮し、抽象的な表現にとどめる可能性もある。

 岸田文雄首相は11月29日の衆院予算委員会で「南西地域の防衛体制強化は喫緊の課題で、安全保障環境に即した部隊配置を推進していく」と語っていた。

 師団は作戦の基本単位とされ、約4900~7700人で編成される。トップの師団長は陸将が務める。これより規模を小さくした旅団は約2千~4千人規模で編成し、那覇を拠点に県内各地で活動する第15旅団は約2500人。

 防衛省関係者は「沖縄には師団規模が必要だが、地域への影響が大きく、慎重に対応しなければならない」と述べた。

 15旅団は、沖縄の日本復帰の翌1973年、第1混成団として編成された。南西シフトを進める中で2010年に第15旅団に格上げされた。さらに、部隊増強が進んで与那国駐屯地(与那国町)や宮古島駐屯地(宮古島市)が発足し、来年3月までに石垣駐屯地(石垣市)の開設を予定している。

(明真南斗、斎藤学)

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