平和への思い「引き継ぐ」 沖縄戦語り部・中山きくさん通夜、関係者が別れ惜しむ きょう告別式


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中山きくさんの通夜で別れを惜しむ関係者=16日、浦添市のサンレー中央紫雲閣(金良孝矢撮影)

 元白梅学徒で沖縄戦体験の継承に尽力し、12日に94歳で亡くなった中山きくさんの通夜が16日、沖縄県浦添市のサンレー中央紫雲閣で執り行われた。生前に関わりのあった平和ガイドや関係者らが焼香に訪れ、安らかな顔に語りかけ別れを惜しんだ。告別式は17日午後2時から2時45分、那覇市銘苅3の22、サンレー那覇北紫雲閣2階紫雲の間で。喪主は長男の章(あきら)さん。

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 中山さんは化粧を施され、きれいな姿でひつぎに眠っていた。弔問客は顔をのぞき込み「まだ生きていらっしゃるみたい」と話していた。戒名は「常願院安寧菊華大姉(じょうがんいんあんねいきっかだいし)」。読経した寛永寺(豊見城市)の嘉数俊賢(しゅんげん)住職(76)によると、生前の活動を参考に「平和と安らぎ」を意味する「安寧」の文字を入れた。

 教諭時代の中山さんの教え子でもある嘉数さんは、縁あって白梅の塔の慰霊にも10年以上携わってきた。「不戦を誓う強い使命感があった」と惜しみ、初七日まで付き添うという。

 平和ガイドを手伝っているという岩田望美さん(50)=糸満市=は、中山さんの戦争体験を参考に修学旅行生らに戦争の悲惨さを伝えてきた。中山さんの顔を見つめ「戦争をしない、起こさせないことを残されたわれわれが引き継ぐ」と誓った。

(金良孝矢)

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