米軍が今月末に沖縄県宮古島市の下地島空港を訓練で使用するため、同空港を管理する県に「空港使用届」を提出していることが17日、明らかになった。県によると、31日午後0時半~同1時半までの1時間、米軍普天間飛行場との間を行き来するとしている。米軍機の下地島空港使用は2006年以来で、訓練目的は初とみられる。下地島空港は「屋良覚書」で、軍事目的で使用しないと明確に示されており、県は使用の自粛を求める方針だ。
▼【屋良覚書とは】下地島空港は「民間機限定」 国と沖縄側で確認
12日に行われた外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、安保関連3文書も踏まえ、民間用を含む空港・港湾の柔軟な使用を自衛隊だけでなく米軍も含めた2国間協力に発展させることで一致。米軍はその翌13日に使用届を県に出した。恒常的に使用する端緒となる可能性がある。
県によると、米海兵隊から13日に連絡があり、H1ヘリコプター2機、CH53ヘリコプター2機を使用すると説明があったという。米側は使用目的について「人道支援、災害救援目的の習熟飛行」と説明しているという。
日米地位協定第5条は米側が適当な通告をすれば着陸料や入港料を支払わずに、民間の空港、港湾を利用できると定めている。米側はこの規定に基づき、下地島空港を使用する意向を示している。
一方、米軍は過去には主に給油目的などで下地島空港を使用した。06年、フィリピンでの軍事演習に向かう途中、給油などの目的で下地島空港にヘリコプターや空中給油機を着陸させ、県が抗議したこともある。
県はこれまで、米軍機の民間空港利用に関し、民間機の安全を確保するため緊急時以外の使用を自粛するよう求めてきた。県はこうした経緯を踏まえた上で、米側に使用自粛を口頭で申し入れる方向で調整している。
防衛省の青木健至報道官は17日の記者会見で「米側に対し、事実関係の詳細を確認している。米側に対し、安全面に最大限の配慮を求めるなど対応していく」と述べた。
(池田哲平、明真南斗)
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