浦添市、子育て支援センター廃止へ 直営を1カ所に集約 利用者は反発、存続訴え


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 【浦添】浦添市は5日までに、乳幼児と保護者の相互交流や子育てに関する相談、援助などを行う「地域子育て支援拠点事業」を展開する民営の子育て支援センター3カ所を廃止し、サンエー浦添西海岸パルコシティ内の市直営1カ所に集約する方針を決定した。市内24カ所の認定こども園が実施する「子育て支援事業」が受け皿になると判断した。支援センターを利用する保護者や市内の保育関係者は市の方針に反発し、施設の存続を求めている。

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 拠点事業を担う子育て支援センターは、こども園や児童センターなどに併設される。主に保育施設に通っていない親子が利用でき、専従の職員が子育てに関する相談などに応じる。市はすでに公営の拠点施設3カ所を廃止した。3月末には子育て支援センター「ほるとの家」を含む、民営の拠点施設3カ所への委託を打ち切る考えだ。

 認定こども園が実施する子育て支援事業も、拠点事業と同様に親子の相互交流や子育てに関する相談業務などを実施するが、園によって事業内容は異なる。実施事業が明確に決まっている拠点事業と違って、支援事業は園の裁量が大きく、実施する事業も園庭開放や給食体験などさまざまだ。さらに、支援センターは週5日開くのに対して、こども園の多くは週3日の受け入れとなっている。

 県内外の多くの自治体は、こども園の整備と並行して拠点施設の整備を進めてきた。厚労省によると、2021年度時点で、県内では29市町村に96カ所の拠点施設が設けられ、全国では7856カ所ある。国は24年度までに全国で1万カ所の施設の整備を目指す。厚労省の担当者は浦添市の方針について「聞いたことがない。拠点事業と支援事業はあくまで別事業だ」と語った。

 市はこれまであった拠点施設7カ所による「点」の子育て支援から24カ所のこども園による「面」の支援に切り替え、市全体の保育の質の向上を図りたい考え。松本哲治市長は「市は国の方針に逆行していない。むしろ次の段階に進んでいる。拠点施設がリードしてつくってきた財産を今後は面に展開させ市全体の質向上につなげる」と語った。(吉田健一)


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