沖縄本島北部で計画されている新テーマパークの起工式が7日、今帰仁村呉我山の整備用地内で開催された。2025年前後の開業に向けて本格的な工事が進む。参加者によると、テーマパーク建設による観光振興などに期待する声が上がったという。
▼北部テーマパーク「分かりづらい」いまだ明かされぬ詳細に懸念や疑問も
起工式は、関係者以外非公開で実施された。事業の準備会社であるジャパンエンターテイメント(名護市)の加藤健史社長や事業を発案したコンサルティング会社・刀(大阪市)の森岡毅CEO、玉城デニー知事、事業に出資する企業の関係者や地域住民らが参加。整備用地内に設けられたテントの中で、工事の安全を祈願した神事などが行われた。
参加者によると、森岡CEOは関係者の協力に感謝の言葉を述べ「必ず良いものをつくる」などと意気込んだという。玉城知事は「沖縄観光のブランド力向上につながり、国内外から多くの観光客の来訪が見込まれる」などと、建設に伴う観光振興や地域活性化に期待を寄せた。
(長嶺晃太朗)
加藤氏「沖縄から日本の観光産業を変革」
北部テーマパーク事業の準備会社・ジャパンエンターテイメント(JE、名護市)の加藤健史社長に開業に向けた思いを聞いた。(聞き手・小波津智也)
―起工式が終了し、工事が本格化する。
「2018年にJE社が設立し、およそ5年かけてようやくたどりついた。皆さまの期待を感じつつ開業に向けて責任を改めて感じている」
「開業準備へ真っ先にやるべきことは人を集めることだ。順次時期をみながら採用することが今後起こると思う」
―事業の意義は。
「沖縄から日本の観光産業を変革するというビジョンを掲げ、北部地域の経済や沖縄の観光、観光立国日本への貢献というものを目指す。地域経済に貢献できるし、需要が生まれることで雇用も生まれる。働く人も増える」
「今回は(事業を発案した)刀がマーケティングのノウハウを注入したテーマパークができる。観光事業領域におけるマーケティング人材が育ちやすい環境にある。沖縄の魅力を価値に変えていけるような人材を育成することができるのは、大変意味があると思う」
―収益が県外に流れると懸念する県民もいる。
「事業に出資する株主数でいうと多くは沖縄の方だ。事業によって発生する取引については、県内事業者と協業することもできる。従業員は、消費者に提供する価値を引き上げるマーケターと位置付けたい。価値を引き上げた人が評価されるような、頑張りに報いる企業にしたい」
「予定地に近い名桜大学では国際観光産業学科が新設される。観光人材を育成する中で、消費者価値を生み出すマーケティングという点において、テーマパークを実践の場として連携できることもあると思う」
―開業への決意を。
「開業へ態勢を整えていくフェーズの中で、地域の皆さまに支えていただきながら会社一丸となって前へ進みたい」
【関連リンク】
▼沖縄・北部テーマパーク「搾取ではなく一緒に喜べる」県内から出資も 総事業費600億円超 開業は2025年前後