性的マイノリティーのパートナー「みむみー」としてラジオパーソナリティーやモデル、ユーチューバーとして活動する沖縄市在住の安里ミムさん(29)とみーちゃん(32)が2日、沖縄市の結婚式場で式を挙げた。
戸籍上は男性だが男女どちらの性にもあてはまらない「Xジェンダー」のみーちゃんは、タキシードではなくウエディングドレスを着用。新郎新婦ともにウエディングドレスを着ての登場となった。新婦の安里ミムさんも男女ともが恋愛対象となるバイセクシュアルであり、互いにそれぞれの性を理解し、尊重している。
>>2人でウエディングドレスを あるカップルが目指す結婚と社会
「私たちの場合は戸籍上は男性と女性だから入籍もできるけど、同性のカップルなどそうでない人もいる。全ての人が平等に選択肢を持てる社会であってほしい」とミムさんは話す。
式の参加者にも性別に関わらず好きな服を着て出席してほしいと呼び掛けた。ドラァグクイーンや特撮ヒーロー、コスプレイヤーとバラエティー豊かな出席者が式場を彩った。同性同士のカップルなど性的少数者も多く見られた。
出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの鵺夜深(やよみ)さん(54)は、普段会社員として県内の企業に勤務しており、仕事を終えた後ドレスに着替えて式場に駆けつけた。職場では男性として働いていたが、式の様子に刺激を受け、翌日、上司に自身がトランスジェンダーであることを打ち明けた。「不安もあったが、否定的な反応はなく、理解を示してもらえてほっとした。肩の荷が下りた気持ち」と安堵(あんど)の表情をのぞかせた。「妻と3人の子どもたちはまだ知らないがいつかは打ち明けたい。ミムさんとみーちゃんさんには勇気をもらえて感謝している」と話した。
みーちゃんは「これまでの常識や固定観念を捨てて感覚をアップデートするのは簡単ではないと思うけど、少しずつでも知ってもらえるよう努力したい」と話す。岸田首相の「同性婚を認めると社会が変わってしまう」、秘書官の「隣にいたら嫌だ」という発言にも傷つき、憤りを感じた。同時に、正しい知識を持つことの重要性を再確認することにもなった。
ミムさんとみーちゃんは3月にも南風原高校で講演する。「差別をしないこと、他者の権利を認めることを当たり前だと感じてほしい。指導や教育ではなく、等身大の私たちを知って、理解してもらえたら」とミムさんは笑顔を見せた。
結婚式の様子は2人のユーチューブ「みむみーちゃんねる」で視聴できる。
(普天間伊織)
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