【東京】航空自衛隊那覇基地でのセクハラ被害を訴えたにもかかわらず、空自が適切な対応をせずに不利益を被ったとして現役自衛官の女性が27日、国を相手に約1168万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。弁護団は同日、都内で記者会見を開き「被害者が救済を求めたのに(自衛隊は)対応しなかっただけでなく、被害を隠蔽(いんぺい)しようとした」と指摘した。
弁護団によると、原告は入隊した2010年に那覇基地に配属された。年上の同僚隊員が原告の容姿や性生活をやゆする発言を繰り返した。原告は13年以降、上司らに継続して状況の改善を求めたが、配置転換など組織として措置は取られなかった。不作為にとどまらず、原告に対する周囲からの2次被害につながった対応もあったと訴えている。
原告は16年にセクハラ発言をした隊員個人に賠償を求めて提訴。那覇地裁や高裁はセクハラ発言があったとする原告の供述を採用した。一方、公務員の職務に関わる行為については個人が責任を負わないという法律を適用して請求を退けた。
このため、原告と弁護団は国を相手に組織の責任を問う裁判を起こすことにした。
被害を訴えたことで不当に昇任が遅れたり、不当な訓戒を受けたりして経済的な損失も被ったとも主張している。
(明真南斗)
【関連記事】
▼性暴力、母の内縁夫から2度 被害女性は実家と絶縁…支援受け告訴
▼性被害、相談までに「1週間以上」6割 3割が20歳未満 沖縄県まとめ
▼沖縄県職員のパワハラ相談、3年連続2桁で推移 報復恐れで認定は少なく
▼沖縄防衛局の課長がパワハラ、停職処分 職員2人に長時間詰問