新型コロナウイルス感染拡大前、地元客でにぎわっていた県内各地のスナック。休業や外出自粛の要請もあって遠のいた客足が今もなかなか戻らない店もある。県内でコロナが初確認されてから4年目に入った。対策も5月には緩められるが、感染症の影響は経営者や従業員らの生活に今も影を落とし続けている。
本島中部で店を営む50代女性は「世の中がここまで変わるとは。まだ受け止めきれない」と爪痕の大きさに嘆息する。
休業要請に応じて長く店を閉めた。協力金は、賃貸料や光熱費などですぐに消えた。十数人の従業員は、自身も含めシングルマザー。数人は断腸の思いで雇い止めした。住民税非課税世帯だったが、昨年は協力金や収入の合算が一定額となり、課税世帯になった。そのため県外大に通う息子の給付型奨学金が止まった。
生活資金が足りず国の特例貸し付けで最大200万円も借りた。不正に協力金を受け取る店舗も身近にあったが、「真っすぐ生きればどうにかなる」と信じ、耐えてきた。
盛況だったコロナ前に比べ、収入は半減。常連も夜遅くまでは飲まなくなった。営業時間を早めるなどの工夫をするが、来店は数組にとどまることも。物価高もあって値上げせざるを得ず、今後は電気料も上がる見通しで不安は尽きない。
「生きていかないといけない」と店へ向かいつつ「何組来てくれるかな」と怖さを感じることもある。
別のスナックで約10年間働く50代女性はコロナ以降、ダブルワークが常になった。息子2人は独立しているが、近くの県営団地で年金暮らしをしている母の面倒もあり「生活は苦しい」。
知人の紹介で特例貸し付けを利用し、約60万円を借りた。食料がもらえるフードバンクも初利用し「ありがたかった。泣きそうになった」と感謝する。一方、今後も支援に頼ることに「もっと苦しい人たちが利用するべきでは」と気後れも感じている。
感染症対策が緩められたとしても簡単には戻ってこないものがある。影響をまともに受けたまま、どうにか暮らしているのは自分だけではないとも分かっている。「誰もが肩身の狭い思いをしない環境に早くなってほしい」と祈るように毎日を過ごす。
(金良孝矢)
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