駆除したサメ肉をペットフードに 宮城県の企業と連携 サメ皮革職人・金城さん 沖縄・南城市 


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沖縄で駆除されたサメを使って開発したペットフードを手にする石渡商店の石渡久師社長(右)とカフーカの金城立磨さん=8日、南城市大里平良

 【南城】南城市大里平良の工房で、県内で駆除されたサメの皮で皮革製品づくりに打ち込む金城立磨さん(28)はこのほど、宮城県気仙沼市にあるフカヒレ加工の「石渡商店」の石渡久師社長(41)と連携して、犬が食べる沖縄県産のサメ肉のペットフードを開発した。金城さんは「少しでも震災で被災した気仙沼の復興の役に立てられたら」と意気込む。

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 県内各地の漁港に出向き駆除されたイタチザメを集め、皮を使って財布やバッグ、名刺入れなど「サメ革」の製品ブランド「cafooca(カフーカ)」を製作する金城さん。今回、「サメの肉なども活用できないか」と考え、全国一のサメの水揚げ量を誇りフカヒレの産地として知られる気仙沼市の事業所などに電話で連絡し、石渡さんとつながった。

 以前からサメ肉を使ったペットフード事業を進めていた石渡商店では、昨年12月にペットフードの工場が完成。今年1月に沖縄のサメ肉のペットフードの試作品ができた。

 石渡さんは「サメ肉は低カロリーで低脂質、低脂肪、高タンパク。鶏のささみと比較しても栄養が豊富。サメのペットフードは低アレルゲンで、人が食べても問題のないヒューマングレードにしている」と強調する。

 石渡さんによると、サメ肉には浸透圧調整のため多量の尿素が含まれており、時間の経過とともに尿素がアンモニアへと変化してしまう。そのため、沖縄で水揚げされたサメは、金城さんが素早く処理して凍結させ、石渡商店へ輸送する。金城さんは「ペットフードの商品化によって、駆除されたサメを余すことなく活用できる」と笑顔で語った。

 昨年4月、金城さんは気仙沼市へ足を運び、東日本大震災で被災した人たちと交流を重ねた。石渡商店も津波による被害を受け、従業員1人が犠牲になった。石渡さんは「沖縄と東北が手を合わせて作り上げた商品。震災を乗り越え、先代から紡いだサメの加工技術を生かして、少しでも地域貢献につないでいけたら」と期待した。

 沖縄県産サメ肉のペットフードは、夏ごろにもペットボックスの店舗とカフーカのホームページで販売する予定。
(金城実倫)


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