名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に伴う防衛省の設計変更申請を沖縄県が不承認とした処分を巡り、県が国の関与取り消しを求めた2件の訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)は16日、県の訴えをいずれも退けた。不承認に関する訴訟の判決は初めて。判決後、報道陣の取材に応じた玉城デニー知事は「2件の判決は到底納得できるものではなく、上訴に向けて判決内容を精査していく」と述べた。
国土交通相が県の不承認を取り消す裁決をし、さらに承認するよう求める是正の指示を出したことに対し、県は、裁決も是正指示もどちらも違法だとして、取り消しを求めていた。16日の判決は、裁決については「訴訟の対象となる国の関与には当たらない」とし、訴えを却下。是正の指示については、県の不承認処分に裁量権の逸脱・乱用があるなどとして、請求を棄却した。
県は、取り消し裁決をした上で是正の指示をするという手法の違法性を主張していたが、谷口裁判長は「権限の乱用とは言えない」と退けた。普天間飛行場の危険性の早期除去を目的としたにもかかわらず、工期が大幅に延長され、埋め立ての必要性を欠くとの県の主張には「完成にさらに約9年1月を要することになっても、政策課題と整合しなくなったとは言えない」と判示。是正の指示は適法だとした。
沖縄防衛局は2020年4月、大浦湾の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事のため、県に設計変更を申請した。県は21年11月、軟弱地盤の調査が不十分であることなどから不承認とした。新基地の完成には、設計変更に対する県の承認が必要。不承認を巡って、県は行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟も起こし、那覇地裁で係争中となっている。
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