「今度はちょっと難しいよ。119より一つ小さい数はなーんだ」。2月20日、中城小学校1年生の算数の授業で、教師の問い掛けに子どもたちが一斉に手を挙げる。「118」「全然難しくない! もっと難しくして!」。教室にいる15人が前のめりになり、難題をせがむ。教師は「できなかった人はいない?」と、机の間を回りながらそれぞれのノートにさっと目を通していく。子どもたちの表情とノート、どちらもすぐに確認してテンポ良く授業できるのは、少人数だからこそだ。
中城村は津覇小と中城小の2校で、小1~小3を対象に1学級16人程度を基準とした村独自の少人数学級編成を2018年度から実施している。国基準は35人、県基準は小1~2年が30人、小3が35人となっている。「他市町村の学校と比べると、子ども一人に充てられる時間は約2倍、子どもが発表できるチャンスも約2倍だ。何度もチャレンジできて、今は間違いを恥ずかしがる子も少ないですよ。意欲的です」。教室を案内してくれながら新垣剛志校長は少人数制の効果を語った。
別の1年生の学級では作文の授業中。16人の児童が一年間の思い出を書き始める。まだ原稿用紙の使い方に慣れておらず、教師は一人一人、個別指導して回る。同じ教室には教師の他にもう一人、特別支援員もいた。
特別支援員は、発達に課題があり、支援が必要と判断された児童に付く。中城小に特別支援員は2人。「支援員が対応に慌てるような様子はなくて、見守っている感じ。子どもたちが落ち着いている」(新垣校長)
県内の教員不足の要因の一つに特別支援学級の増加がある。特に情緒学級が増えている。支援が行き届かず一時的に落ち着かない状態の子が、情緒障がいと誤解されている可能性を指摘する識者もいる。中城村では、少人数学級の導入後、実施2校では特支学級が増えたことはない。村教育委員会の担当者は「少人数学級導入の効果だと断言できる調査結果はないが、教師の目が行き届きやすく、子どもが落ち着いている雰囲気はある」と話す。
(嘉数陽)
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