浜田村長インタビュー
中城村が独自の少人数学級編成を導入して、5年がたった。実現させた浜田京介村長に、導入までの経緯や効果、課題などについて聞いた。
―導入については村議会で反対の声も大きかったと聞く。
「8対7でギリギリ賛成多数だった。県の補助を受けられず、一般会計が100億に満たない村が、独自に年間何千万円も前例のない事業に予算を出すのかと、厳しく指摘された。しかも村内3小学校のうち空き教室がある2校で、小1~小3でしかできない。教育の平等性、公平性が取れないと問題視された」
「当然、全校・全学年でやりたい。でも、できることには限度がある。一斉にできないならやらない、という考え方はするべきではないと思った。できることをやろうと訴えた」
―導入の効果は。
「予想以上の早さで持続的な結果が出ていると考えている。県学力到達度調査は県平均を大きく上回っている。学習意欲の向上は、少人数制を終えた後の小4~小6でも維持されているように感じる。小6での全国学力テストは県・国の平均を上回った」
「ただ、最も喜ばしい効果は不登校の減少だ。県内でも全国でも増加している一方で、こちらは減っている。心の成長がないと将来つぶれる可能性がある。落ち着いた環境で、子ども同士、教師と良好な関係を築くことができている」
―課題は。
「空き教室がない中城南小では全く実施できていない。人口の急増で、開校5年で2回の増築をしている。ハード面の課題がある」
「財源もとにかく厳しい。ここ数年は年間約5千万を負担している。中城・津覇の2校は校舎建て替えを控えている。当初は4年間の事業で2021年度までを予定していたが、教員にも保護者にも好評で22年度も実施した。でも、もう限界だ。23年度で少人数制は終了する見込みだ」
―財源が確保できれば継続する予定か。
「当然だ。この5年間の結果を県や国に示して、何とか補助を出してもらいたい。負担過重に苦しむ教員の多さから、全国的な教員不足に陥っている。少人数制なら負担が軽減され、教員も戻ってくると期待できる。子どもは将来を担う大事な存在だ。教育への投資は未来への投資だと考え、県や国は教育予算を増額してほしい」
(聞き手 嘉数陽)
【中城村の挑戦リンク】
▼導入から5年 数値に表れた少人数学級の効果 中城村の挑戦㊤続き