「人手不足問題で時給1000円や1300円の店舗が多く、深刻な店舗は時給2000円」―。幅広い業種で人材確保が課題となる中、沖縄県中小企業団体中央会が15日に発表した5月の景況調査で、那覇市商店街からこうした声が寄せられた。国際通りの店舗ではコロナ禍前まで時給900円台の求人が主流だったが、観光需要が回復して人手確保が課題となり、賃上げによる〝争奪戦〟の様相を呈している。
中央会によると、各店舗の時給情報が出回って従業員が仲間同士で辞めたり、店舗に交渉を迫ったりする事例がある。人件費上昇による経営圧迫や、時給の低い店舗は人手不足のまま厳しい状況に置かれることが懸念されているという。
景況調査では、募集しても応募が少なく「急激な受注への対応が懸念される」(酒類製造業)、「依然として人手不足による稼働抑え対応をしている声もある」(ホテル旅館業)など、影響は各業種に広がる。中央会の岸本勇会長は「経済のボリュームも膨らみ、人材が散らばっていることも考えられる。外国人労働者を雇わないと追いつかない状況もある」と述べた。
(當山幸都)
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