巨大地震、頻発する風水害…沖縄で「今できること」は 気象予報士、研究者、アナウンサーが災害への備えを語る


巨大地震、頻発する風水害…沖縄で「今できること」は 気象予報士、研究者、アナウンサーが災害への備えを語る 「迫り来る災害に今できること」をテーマに開かれた防災気象講演会=20日、那覇市小禄の沖縄産業支援センター
この記事を書いた人 琉球新報社

 「迫り来る災害に今できること」をテーマに、2023年度防災気象講演会(沖縄気象台や県など主催)が20日、那覇市小禄の沖縄産業支援センターで開かれた。気象予報士の永井秀行さん、琉球大のシェリフ多田野サム助教、フリーアナウンサーの武田真一さんの3人の識者が登壇し、沖縄の気象環境を踏まえながら、災害に備えた対策の必要性を訴えた。

永井秀行さん

 気象予報士で市町村に避難情報発令を助言できる気象防災アドバイザーでもある永井さんは、気象庁が発表する防災気象情報の活用を呼びかける。

 西日本豪雨をきっかけに、土砂災害や洪水災害の恐れがある際に生き残るための行動を5段階で示す「警戒レベル」が19年に運用されたことを紹介。気象庁が大雨災害の発生リスクを地図で示すサービス「キキクル」も活用することで「大切な命を守ってほしい」と呼びかけた。

シェリフ多田野サムさん

 琉球大地球科学科のシェリフ多田野助教は、温暖化が沖縄に及ぼす影響を解説した。那覇の夏の平均気温は、100年前と比べ1・4度上昇し「暑い夏の頻度が増え、寒い夏の頻度が減っている」と分析する。

 温室効果ガスの抑制が進まなければ海水温上昇が予測され、「強い台風が今よりも多く沖縄に接近する機会が増える」とし、風水害も増える可能性に言及した。

武田真一さん

 1995年の阪神大震災をはじめさまざまな災害報道に携わってきたフリーアナウンサーの武田真一さんは、先日取材で訪れた能登半島地震の被災地の状況を報告した。「東日本大震災や阪神大震災に次ぐ被害と感じる」と爪痕の大きさを語り、息の長い支援活動が必要との認識を示した。

 かつてはNHK沖縄放送局にも在籍。「沖縄にも地震が想定される断層がある」と述べ、災害に対し「自ら命を守るしかない」と指摘した。ハザードマップの確認をはじめ、ニュースや行政の防災情報を基に命を守る行動を取れる態勢づくりを求めた。

(小波津智也)