世界に広がるウチナーンチュ約42万人のネットワークの拠点が実現する見通しになった。
1980年代後半から民間の提案があり、県も92年に基本計画に着手したが予算などの面から頓挫してきた。移民1世が細り、世代交代も進む。「いつまでもウチナーンチュのネットワークが残ると思ったら大間違いだ」(世界ウチナーンチュセンター設置支援委員会=WUC=の三木健共同代表)という関係者の危機感が後押しした。
県が地域外交で目指す「国際平和創造拠点」にもなりうる器が固まったが、肝心なのは中身だ。
県は、(1)交流拠点(2)資料収集・展示(3)学習・普及(4)相談窓口―の四つの機能を盛り込む考えだ。
例えば、海外県人が自らのルーツをたどりたいというニーズは高い。資料収集や外国語対応などをセンターに集約し、海外からもワンストップで応えられる相談窓口になることが重要になる。
また、これまで県の国際交流担当の職員が異動するたびに、話が通じなくなることへの不満があった。WUCの記者会見でも「世界ネットワークを作っていくのにふさわしい人材」「天下りの場ではなく自ら動ける人」を求める声が相次いだ。歴史と文化をきちんと継承し、沖縄の絆をつないでいける人材の育成が不可欠だ。
(南彰)