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台湾の故宮博物院が「琉球展」を初開催 明清時代の文献や文物など特別展示 南院で9月7日から 


台湾の故宮博物院が「琉球展」を初開催 明清時代の文献や文物など特別展示 南院で9月7日から  台湾故宮博物院南院(提供)
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 台湾の故宮博物院(蕭宗煌院長)は9月7日~12月1日、嘉義県の南院で特別展「万国津梁:東アジア海上の琉球」を開催する。同院が所蔵する明清時代の琉球王国関係の文献や文物のほか、沖縄県立博物館・美術館や東京国立博物館などからも代表的な収蔵品を出品する予定。台湾において初めて数百年の「琉球王国」の歴史・文化を展示する。

明代初めの龍泉窯「青瓷拱花折枝花果罐」(故宮博物院提供)

  故宮からの展示品は、琉球王国時代の文献資料や書道と絵画、器など。明代皇帝が琉球王国に贈ったと推測される器の類似品のほか、琉球国王を冊封するために、1756年に派遣された冊封使・全魁の秘書を務めた王文治の代表作なども展示される予定。

 展示件数は計152件でそのうち故宮は70件、台湾ほかの公的施設から27件、海外から55件(日本国宝3件、沖縄県指定文化財6件、浦添市指定文化財5件など)。

 同展は「流動」をテーマに展開し、そのうち(1)地理と民風(2)海上の琉球と東アジアの世界(3)物の流通と芸術の伝播の3部門を設ける。

 「地理と民風」では15~19世紀の手書き琉球地図の展示を通じて、琉球王国統治下の地理形勢を理解する。王国時代の貴族や庶民の生活の一部もうかがえるという。

1756年に琉球へ派遣された冊封使・全魁の秘書を務めた王文治の代表作の一つ(故宮博物院提供)

 「海上の琉球と東アジアの世界」では、琉球と中国や日本との往来をつづった文献資料などを公開する。「物の流通と芸術の伝播」では琉球王国と近隣地域との交流による文化への影響を探る。

 故宮の担当者は「展示会を通して、台湾の人々がより一層琉球王国の歴史・文化を理解し、われわれにとって“一衣帯水”の隣近所の沖縄のこともより知ってもらいたい」と期待した。

 琉球交易港図屏風(びょうぶ)1点と琉球漆器4点を故宮博物院に貸し出す浦添市美術館の学芸員で、琉球漆芸専門家の金城聡子さんは「琉球漆器の名品展示を通して、(台湾と琉球の)交流の歴史を身近に感じてほしい」とコメントした。

(呉俐君)