ブラジル政府、日本移民への迫害を謝罪 戦中・戦後の強制退去や拷問 沖縄県系人ら「歴史的瞬間に立ち会えた」 


ブラジル政府、日本移民への迫害を謝罪 戦中・戦後の強制退去や拷問 沖縄県系人ら「歴史的瞬間に立ち会えた」 
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 ブラジル政府の恩赦(アムネスティー)委員会は25日午後2時(日本時間26日午前2時)、戦中・戦後の日本移民コミュニティーへの迫害について政府の謝罪を求める請願を審議し、エネア・アルメイダ委員長が公式に謝罪した。過ちを繰り返さないことを誓った謝罪の言葉を「ブラジル政府は先祖迫害の許しを求めます」と日本語で結んだ。

 謝罪の対象となったのは、サントスに住む日本移民らが1943年7月8日、スパイ行為をしたという無実の罪で24時間以内の退去を命令されたサントス強制退去事件。さらに戦後、日の丸や天皇の写真を踏むことを拒むなどして逮捕された移民らが、46~48年にアンシェッタ島の監獄で受けた拷問も対象となった。

 サントスを強制退去させられた日系585家族の名簿では、沖縄出身者とみられる名前が6割以上を占めた。

 この日の委員会では、謝罪を求めてきた県系の3人が陳述。移民史を研究する宮城あきらさん(86)は、一度は却下された請願の再審議を感謝し、「81年を経て先人の名誉を回復し、歴史の闇に埋もれていたサントス強制退去事件の真実をよみがえらせる歴史的瞬間に立ち会えた」と述べた。

 サンパウロから首都ブラジリアに駆けつけたブラジル沖縄県人会(高良律正会長)の会員を含む約100人で傍聴席は満席となった。謝罪を受けて拍手が起こり、「てぃんさぐぬ花」と「島人ぬ宝」の演奏で歴史の清算を祝った。(宮沢之祐)

謝罪の表明後、亡くなった移民を悼み、黙とうするエネア・アルメイダ委員長ら=25日(現地時間)、ブラジリア(提供:ブラジル日報)