交流サイト(SNS)を通じて投資を持ち掛けられ、金銭をだまし取られる被害が県内で急増している。
県警によると、2024年8月末までに県内で発生したSNS型投資詐欺とロマンス詐欺の被害総額は約10億6千万円。被害が深刻化する中、SNS型投資詐欺の被害者が琉球新報の取材に応じ、「信じることを止められない」と被害の実態を語った。
「だまされているかもしれない。でも、ここで信じることを止めたら心が保てないんです」。本島南部在住の50代男性は唇をかみしめた。男性は昨年7月、フェイスブック(FB)を通じて芸能人「F」を名乗る人物とやり取りをするようになった。Fに勧められるがまま、今年2月までにビットコインや株式投資を名目に1400万円をだまし取られた。資金も底を尽きかけ、追い詰められたが「ここで手を引いたらお金は1円も返ってこない」と今も投資を諦められずにいる。
歌手や俳優として活躍するFの顔写真がプロフィル用画像として使用されたFBの投稿に、高評価を示す「いいね」をしたことが始まりだった。
「いつも、いいねありがとうございます」。Fのアカウントから、男性に対して直接メッセージが届いたのは昨年7月。男性はFのファンだったため、「うれしかった」と振り返る。以降は「職業は何をしていますか」「趣味は何ですか」と会話を重ねた。会費が50万円のファンクラブにも入った。
ある時、2人だけの会話空間を求めて通信アプリLINE(ライン)でのやり取りを提案され、男性はアカウントを教えた。これまでの会話からFが芸能人本人だと信用していたからだ。
(名嘉一心)