国が代執行訴訟を提起した5日も午前6時過ぎには米軍普天間飛行場から航空機のエンジン音が鳴り響いた。飛行場周辺に住む住民からは「早く基地をなくしてほしい」という切実な願いと、県に対する国の対応に憤る声が聞こえた。
嘉数高台公園で孫と遊んでいた60代女性は空を見上げ、「孫が静かな空の下で遊べるような時代が来てほしい」と話した。宜野湾市に隣接する浦添市西原に住んでおり、米軍機が昼夜を問わず「頭上を飛ぶのが日常だ」と話す。国が訴訟を提起したことに「辺野古移設を語るとき、寄り添って丁寧に説明すると言うが、最終的には権力を振りかざす。県民をなんだと思っているのか」とため息をついた。
日も落ちて辺りは暗くなった午後7時、普天間飛行場のフェンスから100メートルしか離れていない場所に住む60代男性は農作業を終え、趣味のラジオに耳を傾けていた。米軍機のプロペラやエンジン音が響くと「何も聞こえないな」と眉間にしわを寄せた。「飛行場がなくなることを願ってきたが、名護市民、辺野古住民に同じ思いをさせたくはない。だからこそ、玉城デニー知事が誕生したのではないか。民意を無視する国の姿勢にはあきれる」と語り、再びラジオに集中した。
仕事から帰宅し、琉球ゴールデンキングスのリーグ開幕戦をテレビで応援していた20代女性=宜野湾市志真志=は「難しいことは分からない」と前置きをしつつも、「騒音被害などに苦しんでいる人がいるのは事実だ。知事には県民の代表として頑張ってほしい」と語った。
(名嘉一心)