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判決言い渡し、わずか15秒…「あまりにも冷たい」 辺野古抗告訴訟 沖縄県が訴える権利も否定 那覇地裁


判決言い渡し、わずか15秒…「あまりにも冷たい」 辺野古抗告訴訟 沖縄県が訴える権利も否定 那覇地裁 那覇地裁を出る県の関係者や報道陣ら=15日午後3時2分、那覇市樋川(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 名護市辺野古の新基地建設の設計変更申請を巡り、県の「不承認」を国が覆した裁決の取り消しを求めた訴訟の判決言い渡しは、わずか15秒ほどだった。憲法で保障された地方自治を取り戻す訴訟だったが、那覇地裁の藤井秀樹裁判長は「原告(県)は、取り消し訴訟を提起する適格を有しない」と判断。県が訴える権利すら否定する門前払いだった。


 「主文。本件訴えを却下する。訴訟費用は原告の負担とする。判決の言い渡しは以上です」
 藤井裁判長は、そう言い渡すと、法廷を立ち去った。
 宜野湾市から傍聴に来た横田チヨ子さん(96)は「たった15秒。あまりにも冷たい。何のための三権分立で、司法があるのか」と裁判所の姿勢に疑問を投げかけた。「沖縄の私たちは物を言う権利も自己決定権もあるのに、それを封じ込めようとする裁判のあり方は許せない」と語った。

 県側の代理人は今後の対応について、「判決内容を見て検討する」と足早に裁判所を後にした。
 設計変更を巡る代執行の訴訟などが続き、県側の支援者にも疲れが広がる。


 14、15日は、県と国が辺野古の新基地建設を巡り争う訴訟が続いたが、両日とも玉城デニー知事の姿はなく、支援者の集会も開かれなかった。傍聴席は希望者全員が入ることができる状態で「裁判所にきちんとプレッシャーをかけられなくなるのではないか」と心配する声も出ていた。 

(南彰)