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知念ウシ氏(むぬかちゃー)パネル報告【フォーラム・沖縄ヘイトにあらがう 詳報3】


知念ウシ氏(むぬかちゃー)パネル報告【フォーラム・沖縄ヘイトにあらがう 詳報3】 知念ウシ氏=11月10日、那覇市の琉球新報ホール
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 琉球新報社の創刊130年記念事業・池宮城秀意記念フォーラム「沖縄ヘイトにあらがう―私たちに何ができるか」が10日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。フォーラムの様子を詳しく紹介する。

【フォーラムの動画を見逃し配信中。詳しくは記事末尾で。】


 立ち向かい 嫌と言い続ける

 辛淑玉さんと初めて会ったのは2005年ごろ、スタンフォード大学でのことだ。そのころ、辛さんは「朝鮮人と言われて差別されているんだから、朝鮮人と名乗らないと闘えない」と言っていた。それがずっと心に残っていた。私も琉球人だと言わないと闘えないんだ、ということにたどり着いた。

 私たちは(差別の)ターゲットにされ、日本の中で平等に扱われていない。これは日本国にされて以来、ずっと続いている。もう日本を見切らないといけないんじゃないか。日本人を“先生”としてきた在り方はもう限界だ。

 琉球は武力で無理やり併合され、沖縄県が置かれ、公的には内地とされた。でも自分のことをないちゃー(内地人)とは言わない。やまとんちゅのことをないちゃーと呼ぶ。ないちゃーと言うのは逆差別ではなく、権力性の指摘だ。言われた方はちくっとくるかもしれない。それは自分が権力側だと、忘れていたことを言われるからだ。

 沖縄県にされた時、「君たち、言うことを聞かないのなら、沖縄は全部やまとんちゅが占めて、君たちはアメリカの土人、北海道のアイヌみたいになって軽蔑されるよ」と、琉球国の首脳たちは松田道之に脅かされた。

 今でもそうじゃないですか。北海道のアイヌやネイティブアメリカン、朝鮮人、台湾先住民に対する激しい差別を見せつけられ、同じように君たちも差別するけどいいのか、と言われて。

 それでアイヌ、朝鮮人、台湾先住民と一緒にするなと言ったのが人類館事件だ。その時も、ものすごい差別があったからだ。でも自分たちは何とか文明化しようとしている、だから一緒にするなと。当時の社会の価値観の中で琉球新報主筆だった太田朝敷は書いた。それも、日本人によるひどい差別があったからだ。

 だが、最近は日本人が、でも沖縄人も差別したよね、と言う。自分が差別した側なのを棚に上げて、沖縄の人の差別だけを批判する。日本人は自らの差別を批判しないと、日本人による差別はなくならない。

 琉球人は「日本人になれば自分たちは差別から逃れられる」と思ってやってきたのが、この150年だった。だがその結果、今も差別はなくらならない。もうこんなやり方は効果もなく、やめるべきだ。

 差別に立ち向かうことを世界中の被植民者、被抑圧者はやってきた。その人たちがつくった闘いの歴史と思想が、今の私たちを励ましている。

 琉球人は東アジアの小さな人間集団だ。なのにこれだけヘイトがくるのは、つぶしたいということ。それだけ怖いということだ。踏みつぶされるのは嫌だと言い続けたい。そして私たちはつぶされない。(県内の軍事施設は)あなた方の基地だから持って帰りなさい、と言い続けることが大事だ。

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