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【記者のルポ/3】苦悩の末「反対」 「違う選択肢があればいいけど」 辺野古に押しつけられない 「夫は賛成、遊園地できたらと願ってる」<歩く民主主義 100の声>


【記者のルポ/3】苦悩の末「反対」 「違う選択肢があればいいけど」 辺野古に押しつけられない 「夫は賛成、遊園地できたらと願ってる」<歩く民主主義 100の声> 子どもが遊ぶ公園の上を通過し、普天間飛行場に戻るオスプレイ=11月16日、宜野湾市大謝名の上大謝名さくら公園
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

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 「毎日ここにいると騒音も振動も大変だし。今から反対して、工事にかけたお金がどうなるのかも気にかかる。悩ましいね」

 飲食業の女性(65)は「違う選択肢があればいいんだけど」とためらった末、「辺野古反対」と答えた。

 女性の息子は、辺野古で警備関係の仕事をしている。反対運動の人を排除することもあり、「泣きながら必死になって建設に反対している人たちを見ていると苦しい」とこぼしているという。

 「なんで沖縄に移すのか。『基地は必要』と言う人もいるけど、逆に狙われると思う」

 普天間飛行場周辺で「辺野古反対」と回答した人の中には、同じウチナーンチュに基地の苦しみを背負わせたくないという人が目立つ。

 「辺野古に親戚もいる。基地の痛みが分かるので、そこの人たちに押しつけることはできない」(60代のパート女性)

 交通整理員の男性(70)は「辺野古に住んでいる人の中には、お金が落ちるかと思い賛成している人がいるかもしれないが、実際に基地が移ってきたら大変なことになる。ここに住んでいる人はその気持ちが分かるんだ」と語った。

 辺野古への賛否は、男性は賛成23人、反対18人。女性は賛成16人、反対27人だった。自営業の女性(50)も夫婦で意見が食い違うという。

 「夫は賛成。『早く返還されて道路が通り、遊園地ができたら』と願っている。だけど、私は沖縄の大切な海を埋め立てで汚してほしくないので反対。この話は、お金が絡んだ利権になっているのではないか」

 飲食関係の団体に加盟する50代の男性は、4年前の県民投票では「反対」に投じ、知事選では玉城デニー知事を応援してきた。辺野古建設に弱い賛成の「+1」と答えたが、苦渋を浮かべた。

 「業界の会合に出れば、みんな自民党。公民館横の公園にも中央のお金が落ちて、どんどんきれいになっている。でも、そういうやり方が本当に沖縄にとってよいのか。本当に悩ましい」

(南彰、名嘉一心)