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「誕生日記念」の沖縄旅でルーツを発見!ブラジル出身の男性 曾祖父の旅券住所を訪ね、親族と初対面


「誕生日記念」の沖縄旅でルーツを発見!ブラジル出身の男性 曾祖父の旅券住所を訪ね、親族と初対面 沖縄を旅行中に親族と初対面したブラジル出身の県系4世マルセロ・ユージ・花城モラエスさん(写真左)と大叔母にあたる花城初さん=11月1日、名護市運天原(ユージさん提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 30歳の誕生日記念に友人と沖縄を旅したら、偶然自分のルーツにたどり着いたー。

 ブラジル出身の県系4世マルセロ・ユージ・花城・モラエスさん(30)が、千葉県出身の渡邉幸央(ゆきちか)さん(26)と2人で旅行中に沖縄の親族を見つけた。曾祖父が沖縄出身でブラジルに移民として渡った記録が残るユージさんは、予想していなかった偶然の出会いに「自然と涙があふれ出た」と自身のルーツに目覚めた。今後の沖縄との交流を楽しみにしている。


 ユージさんはリオデジャネイロ出身で、2022年8月からワーキングホリデーでオーストラリアに滞在している。30歳の誕生日を沖縄で過ごしたいと、滞在先で出会った渡邉さんと旅に出た。2人は10月下旬に来沖し県内のビーチなどを巡り観光を楽しんでいた。

 沖縄に滞在するにあたり、ユージさんがブラジル在住の叔母明美さん(68)に情報を求めたところ、曾祖父の花城清昌さんが1918年に沖縄からブラジルへ渡航した旅券や戸籍の画像などがメールで送られてきた。旅券によると、清昌さんは1900年生まれで18歳でブラジルへ渡ったとみられる。


 これらの写真を、名護市内に滞在中に知り合った地元住民に見せたところ、旅券に記載された住所が市内だったことから現地を訪ねることを勧められた。住民の案内で名護市饒平名を訪ね回り、親族の家を見つけ、花城初さん(94)らと対面した。初さんは、清昌さんの兄弟清常さんの息子清典さんの妻で、ユージさんからは大叔母にあたる。高齢で耳が遠くなっていたが、ユージさんらの予期せぬ訪問を笑顔で歓迎した。

 ユージさんはこれまで県人会や世界のウチナーンチュ大会を知らずに育った。リオデジャネイロには県出身者や県系子弟のコミュニティーがほとんどなく、ユージさんの父親がポルトガル系ブラジル人であったこともあり、ウチナーンチュであることを意識することはほとんどなかった。さらにユージさんは、母ヤス子さん(72)から「日本では出稼ぎに対するイメージが悪い」などと聞かされていた。「自分にとっての日本や沖縄は、母と過ごす時間だけだった」。ヤス子さんから日本人の礼儀などを教えられた一方、一歩外へ出るとブラジル人として過ごすことに違和感もあった。

 沖縄では親族の家を探すことを勧められるなど、人のつながりを大切にするウチナーンチュの温かさも感じ、これまでの印象が覆された。住所から親族の家を見つけ、初さんら沖縄の親族とつながった瞬間には「自然と涙があふれた」と語った。


 ユージさんは「ライフチェンジエクスペリエンス(人生を変える経験)だった。今後は自分が家族の歴史をまとめたい。いずれ母や家族とともに来沖したい」と話した。


(慶田城七瀬)