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承認命令に「不当判決だ」と怒号 高裁那覇支部 傍聴席、騒然 辺野古代執行訴訟


承認命令に「不当判決だ」と怒号 高裁那覇支部 傍聴席、騒然 辺野古代執行訴訟 代執行訴訟の判決が言い渡された福岡高裁那覇支部の法廷=20日午後1時58分、沖縄県那覇市(代表撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 代執行訴訟の判決が言い渡された20日、那覇市樋川の福岡高裁那覇支部周辺には雨の中、判決に関心を寄せる県民が多く詰めかけた。傍聴希望者が多く、5.4倍の抽選に当たった人たちで埋まった201号法廷。三浦隆志裁判長が県に対し、承認命令を言い渡すと傍聴席から「不当判決だよ」と怒号が飛んだ。
 三浦裁判長はやじをよそに主文と判決骨子を読み上げ、開廷からわずか4分で終了した。

【ドキュメント】辺野古代執行訴訟の判決日を追う

 主文言い渡し直後、沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんが「不当判決」と書かれた紙を裁判所前で掲げた。北上田さんは2018年に国に情報公開請求し、辺野古に軟弱地盤があることを突き止めた当事者。「不当判決にがくぜんとし、ぼうぜんとするが、『新基地は造らせない』との思いは変わらない。軟弱地盤問題は解決しておらず、裁判所の判断にかかわらず工事は必ず頓挫する」と訴えた。
 駆け付けた市民からは「沖縄をばかにするな」「司法は役割を果たせ」などと落胆や怒り、失望の声が上がった。

 04年から毎週土曜日に名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート近くでろうそくを手に新基地建設反対を訴える「ピースキャンドル」に取り組む渡具知武清さん(67)=名護市=も傍聴席にいた。「怒りを通り超してあきれた。裁判官は沖縄のどこを見ているのか。へこたれず現状を訴えていくしかない」と目に涙を浮かべながら語った。
 初めて裁判を傍聴したという喜納政次さん(70)=本部町=は「血が通っていない判決で期待外れ」と切り捨てた。県に対しては「民意を背にこれまでの思いを貫き通してほしい」と訴えた。 

(小波津智也、吉田健一、渡真利優人)