災害時の避難に助けが要る障がい者や高齢者らを事前に登録する「避難行動要支援者名簿」について、作成に関し対象者を抽出する手法が市町村によって異なる。そのため、登録者数にもばらつきが見られ、自治体によっては要支援者に該当すべき人が漏れている可能性もある。
琉球新報が実施した防災アンケートでは、西原町の避難行動要支援者名簿には53人と記載されているが、県内町村部では3番目に多い人口にもかかわらず、登録者数は下位から9番目だ。作成に当たっては、行政が持つ個人情報を基に本人の同意なく登録する方式を取り入れる傾向があるが、同町は障がい者や高齢者自身が登録申請する「手上げ方式」を採用しており、それが登録者数に影響しているとみられる。
西原町の担当者は「作成時期が古いこともあり、障害者手帳の等級なども踏まえ、見直しを検討したい」とし、これまでの方式を変更する可能性に言及した。
また、大宜味、東、渡嘉敷、座間味、北大東、与那国の6町村では名簿登録者全てが高齢者であり、名簿の対象とされる障がい者や乳幼児らは登録されていないことも判明した。
名簿は県内では9割以上を占める38市町村で作成しているものの、そのうち登録された要支援者ごとの避難手順をまとめた「個別避難計画」は22市町村にとどまる。未作成の16市町村も準備を進めているものの、「人手やノウハウが不足している」(八重瀬町)と調整に苦労している。
個別避難計画の作成には要支援者の避難を手助けする協力者の確保に加え、円滑な避難のために個人情報を関係機関で共有することなどが求められる。登録された全ての要支援者の個別避難計画を作成したのは東、西原、南大東、伊平屋の4町村にとどまっており、協力者の担い手の確保や個人情報を第三者が取り扱う点でも課題は山積している。
(小波津智也)