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ネイルやヘアケア兼ね、相談会のハードル下げる 行政と民間の連携<雨のち晴れ>第3部「寄り添う先に」(10)


ネイルやヘアケア兼ね、相談会のハードル下げる 行政と民間の連携<雨のち晴れ>第3部「寄り添う先に」(10) インタビューに答える県子ども生活福祉部女性力・平和推進課の島津典子課長=9日、県庁(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 アバター画像 吉田 早希

 沖縄県は各機関と連携を図りながら、ひとり親や貧困家庭などの支援策を打ち出している。県女性力・平和推進課の島津典子課長に、県の取り組みや行政の視点から見る課題を聞いた。

―力を入れて取り組んでいることは。
 「2022、23年度にネイルやヘアカットなどを体験しつつ、生活支援の相談ができる相談会を県内各地で開催した。民間団体の『女性を元気にする会』とタイアップしたもので、相談会来場のハードルを下げ、女性たちが孤立せず社会につながることをサポートする目的がある。参加者が今悩んでいなくても相談機関を知る機会となり、相談機関同士の交流の場にもなった」
 「地域によってそれぞれの課題があるため、これをモデル事業として、今後必要に応じて各地域で開催していただけるよう呼びかけている

―民間団体が担う役割は。活動を続ける上での課題はあるか。
 「現場のニーズや声を聞いてくれたり、行政との間に入って必要な情報を伝えてくれたりするなど、民間団体や地域の協力は非常に大きく、ありがたい。皆さんの力を借りつつ県の施策として事業化するなど、意見交換などを通してアイデアをもらうことはとても大切だ」
 「一方、寄付を募って活動する団体も多く、公的支援が入る、入らないで大きく変わっていく。人手や活動費など複合的な問題があり、われわれもどう継続的に支援していけるかが課題だ」

―県が民間の支援者を支えていくのが理想形か。
 「お互いに補い合っていくイメージだ。知事も言うように、みんなでいろいろな施策を絡み合わせて網の目を小さくすることで、支援が必要な人を取り残すことなく支えることができる」
 「当事者ではなくても、周囲の人が支援に関する情報を持っていると『こういう情報があるよ』と本人に届けることにつながる。行政の情報を必要な人に届けるためにも、発信だけではなく、(自ら出向いて)アウトリーチしていく必要がある。県だけでなく、市町村や地域、民間の人々との連携が重要だ」


 しまず・のりこ
 1970年生まれ、那覇市出身。94年4月県庁入庁。県企画調整課副参事や、子どもの貧困対策を推進する子ども未来政策課長、企画調整課SDGs推進室長を経て、2022年度から女性力・平和推進課長。
 (聞き手・吉田早希)
 (おわり)