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「戦争が近づく感覚」 ミサイル配備に市民ら座り込み抵抗 機動隊も出動し、一時騒然 沖縄、うるま


「戦争が近づく感覚」 ミサイル配備に市民ら座り込み抵抗 機動隊も出動し、一時騒然 沖縄、うるま メッセージを掲げ、陸上自衛隊勝連分屯地へ向かう車両の動きを止める市民ら=10日午前9時29分、うるま市勝連内間(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【うるま】日曜の朝、うるま市に自衛隊車両の長い列ができ、物々しい雰囲気に包まれた。防衛省・自衛隊は10日、地対艦ミサイル部隊配備のための関係車両を、中城湾港から勝連分屯地に搬入した。配備に反対する人たちは1時間以上にわたり分屯地前に座り込み、車両の進入に抵抗した。機動隊が出動し、抗議もピークを迎えると、静かな住宅街は一時騒然となった。

 配備に反対する人ら約150人は、中城湾港でも午前7時から抗議に集まった。自衛隊の車両は結局、抗議行動が行われていないゲートから出て勝連分屯地に向かった。

 中城湾港ゲート前で抗議した宇多滋樹さん(77)=うるま市=は「戦争が近づく感覚がある」と不安を口にした。説明会もなくミサイル配備が進む現状に「市民を押しのける勢いだ」と憤った。

市民らが座り込むなどして抗議する中、陸上自衛隊勝連分屯地へ向かう車両(右奥)=10日午前10時7分、うるま市(小川昌宏撮影)

 ゲートの向こうの自衛隊車両を見つめる上地孝子さん(81)=同市田場=は、小学4年生の頃、宜野湾の伊佐浜で「銃剣とブルドーザー」と言われた米軍の土地強制接収を目撃した。「家の前で抗議するおばあちゃんが銃を突きつけられるのを見た。恐怖で泣きながら家に帰ったことが抗議の原点だ」と語る。勝連分屯地前に自衛隊車両が到着すると、市民らは互いに腕を組んで座り「ミサイル配備はやめろ」と繰り返した。自衛隊員が道をあけるよう促すと、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんは「日本を守るため、戦争への道をあけない」と声を張った。

 一方、勝連分屯地の近くに住む住民からは、諦めの声も聞こえた。会社員の男性(39)は、辺野古の新基地建設の現状と照らし合わせ「無駄な抵抗だと思う。抗議することで何か変わるのか」と複雑な表情を見せた。

(石井恵理菜、金盛文香)