トゲトゲとにょろにょろ ~ナガウニの仲間~ <沖縄・海の生き物たち Vol. 77>


トゲトゲとにょろにょろ ~ナガウニの仲間~ <沖縄・海の生き物たち Vol. 77> ナガウニの仲間
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美味しいから、トゲで身を守る

ウニは好き?と聞かれたら、もちろん食べるウニを想像しますね。沖縄の食用種はシラヒゲウニ。大きいと10cmを超えるまんじゅう型で、白やオレンジ色の短い棘があり、海草の生える砂地に住んでいます。一方、沖縄で一番普通に見られるのは5〜6cmのナガウニの仲間。沖縄には4種類いて、砂地に転がる岩の陰や、サンゴ礁の岩盤の穴にいます。人が食用にしないおかげか、数もたくさん見られます。

ナガウニの殻
ナガウニの殻

ナガウニという名は、殻が楕円形に長いから。海で拾ったナガウニの殻は確かに卵形です。ちなみに、殻の真ん中から外側に伸びる5本の筋が見えますか?ウニは体の作りが5角形の生き物で、ヒトデとも遠い親戚。ウニをひっくり返すと、真ん中に小さな白い5つの歯があり、この歯で岩に生えた海藻をかじり取って食べます。

ホンナガウニの口
ホンナガウニの口

ウニはベジタリアンの平和な生き物ですが、殻の中味は美味しいから、トゲトゲでしっかり身を守ります。でも、トゲトゲの体ってどう考えても動きにくい!岩場や砂地を歩こうにも、引っかかったり刺さったり…。その時、役に立つのがもう一つの足「管足」です。ナガウニをそっと手に乗せて水中に沈めると、棘の間から細く赤い糸がゆらゆら、にょろにょろと出てきます。これが管足で、先には小さな吸盤があります。これを棘よりも長く伸ばし、まわりにくっつけては体を引き寄せるのを繰り返して移動します。

ツマジロナガウニの管足
ツマジロナガウニの管足

トゲトゲとにょろにょろ、2種類の「足」を持っているウニ。食用でなくても、その面白い生き方を、ぜひ海で観察してみてくださいね。


Vol. 77 ホンナガウニ

 Echinometra mathaei

ホンナガウニ
ホンナガウニ

● 目:ホンウニ下目 Echinidea

科:ナガウニ科 Echinometridae

● 属:ナガウニ属 Echinometra


撮影:ナガウニの仲間 2023年3月5日(浦添市伊奈武瀬)

   ナガウニの殻 2017年8月10日(糸満市大度)

   ツマジロナガウニ 2015年5月8日(浦添市カーミージー)

   ホンナガウニ 2024年3月10日(久米島町奥武島)

撮影・執筆
鹿谷麻夕(しかたに自然案内)

しかたに・まゆ 東洋大、琉球大卒、福井県立大大学院修了、東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。

2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。令和4年度沖縄県環境保全功労者、ジャパンアウトドアリーダーズアワード2024特別賞。