シライトイソギンチャクの繁殖個体、世界初展示 美ら海水族館 沖縄 


シライトイソギンチャクの繁殖個体、世界初展示 美ら海水族館 沖縄  世界初の繁殖個体の展示が始まったシライトイソギンチャク(沖縄美ら海水族館提供)
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 沖縄美ら海水族館は6日から、大型のイソギンチャク「シライトイソギンチャク」の繁殖個体の展示を始めた。

 同水族館によると、繁殖個体の展示は世界初。海外での繁殖例はあるが、6~7センチまで育成できたのは初という。サンゴ礁への旅エリアの個水槽「サンゴ礁の小さな生き物」でハナビラクマノミとともに観察できる。

 シライトイソギンチャクは先端がとがった長い触手が特徴で、成長すると大きさは直径50センチに達する。日本では奄美諸島以南に生息し、ハナビラクマノミやクマノミと共生する。同水族館は10年以上前から野生で捕まえた個体を展示している。

 外見での雌雄の識別が難しく、繁殖例はこれまで限られていた。2020年に世界で初めて成功したハタゴイソギンチャクの繁殖技術を使って雌雄を判別し、昨年繁殖に成功した。繁殖の成功を通じて、同館は寿命や産卵時期の解明に期待しているほか、繁殖にまだ成功していない他種の繁殖にもつなげたい考えだ。

 イソギンチャクは観賞用として人気が高く、捕獲による個体数の減少が危惧されている。同水族館魚類課の松崎章平さんは「繁殖技術がイソギンチャクの保全につながれば」と期待し、「小さいサイズのイソギンチャクはなかなか見ることができない」と来館を呼び掛けた。

 (武井悠)