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隔離政策「つらかった」 ハンセン病 家族訴訟の元原告らが集会 沖縄


隔離政策「つらかった」 ハンセン病 家族訴訟の元原告らが集会 沖縄 ハンセン病家族訴訟の勝訴から5年の節目で開かれた集会で基調報告する黄光男さん=29日、東京都千代田区の主婦会館プラザエフ
この記事を書いた人 Avatar photo 斎藤 学

 【東京】2019年6月28日のハンセン病家族訴訟の勝訴判決から5年の節目を記念して、東京都千代田区の主婦会館プラザエフで29日に集会が開かれた。集会で県内の60代女性は幼少時のいじめに触れ「いろんなことには我慢できても、父ちゃん、母ちゃんに会えなかったことが何よりつらかった」と語り、隔離政策への痛切な思いと偏見差別の解消を訴えた。

 集会には当時の原告や訴訟代理人らが参加した。家族訴訟原告団あじさいの会の黄光男副代表は基調報告し、勝訴しても今も多くの家族が偏見差別におびえる環境にあることを説明。「まだまだ被害は伝わっていない。解消に向けて市民の皆さんとスクラムを組んでいきたい」と呼びかけた。

 討論には3人が登壇した。家族訴訟に加わった理由について原告だった男性は「母がいなければ今の自分もいない。せめてもの親孝行だった」と述べた。県内女性は「母への堕胎の注射が失敗して生まれたのが私。堕胎の注射を打たれて生まれてこなかった子どもたち、生まれたけど生きることが許されなかった子どもたちがいる。いろいろ考えて原告になった」と語った。

 ハンセン病元患者らに対する補償金支給法について、元原告の一人は「受給申請者の推定数は2万4千人だったが、今年4月時点で推定の3割でしかない」と説明し、家族が安心して受け取れる環境づくりが急務の課題と指摘した。その上で元原告は「過去を想起し恐れを抱く家族もいると思うが、補償金という国の誠意を受け止めていいと思う。ぜひ連絡を」と呼びかけた。

 (斎藤学)