糸満市摩文仁や各地の慰霊祭で聞いた遺族ら100人のうち、「南西シフトで進む県内での自衛隊増強」に19人が賛成と答えた。中国や北朝鮮、ロシアの脅威への不安を口にする人が多い。その一方で、国民に「戦う覚悟」を求める政治家の言動には批判的だった。
摩文仁にいた会社員男性(57)は「中国の動きを見ると、ある程度は必要かなと思う」と自衛隊増強には理解を示した。その上で「過去を見ると、政治家が勇ましいことを言うときは良くないことが起きる。政治家には慎重な発言を求めたい。県民、国民もあおられることなく冷静な頭を持つべきだ」と語った。
那覇市の一中健児之塔にいた男性(76)は「政治家には『戦う覚悟』とコメントする資格はない。戦争を始めようとする者は、開戦後、真っ先に前線へ行ってほしい」と批判した。
摩文仁の島守の塔にいた宮城武さん(90)も「国際情勢を見たとき増強は仕方ない」と抑止力を持つ必要性を説いたが、「『戦う覚悟』ではなく『戦わない覚悟』を持つべきだ。こっちから仕掛けるということはない」と話した。糸満市米須の慰霊祭にいたパート女性(72)は「孫たちに軍隊の誤りや戦中の暴力について『よくないね。話し合いで解決したいね』と伝えていきたい」と語ったが、自衛隊増強には「プラス3」と最も強い賛成を選んだ。中国やロシアの軍拡の動きが気になるからだ。「戦う覚悟」を求める政治家の発言に不安を口にした。「孫たちがいるので複雑な心境だが、現状を見たら国に逆らうことはできないとも思う」