やわらかいサンゴ 〜ソフトコーラルの仲間~ <沖縄・海の生き物たち Vol. 78>


やわらかいサンゴ 〜ソフトコーラルの仲間~ <沖縄・海の生き物たち Vol. 78> ウネタケの仲間
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多様なサンゴの世界

「サンゴって何?」というクイズを三択問題にする時、よく使う選択肢は「石、植物、動物」です。もちろん正解は「動物」。でも、サンゴは植物プランクトンと共生しているし、サンゴの骨格が積み重なってできたサンゴ礁はやがて石灰岩になるから、どれも少しずつ正解です。さて今回は、そこからさらに話をややこしくさせる生きもの。硬い骨格を持たないサンゴ、ソフトコーラルです。

ウミキノコの仲間
ウネタケの仲間、左回り、ちょっと右回り?

ソフトコーラルのうち、ウネタケやウミキノコと呼ばれる仲間は浅瀬でも見られます。大きなイソギンチャクみたいだけれど、キノコっぽいしっかりした肉質。表面に小さい穴がぶつぶつあり、ちょっとキモチ悪い?これはポリプを引っ込めた穴。穴からポリプを伸ばしていたら、その先の小さな触手は、まるで白い小花が咲いているよう。大きい骨はないけれど、肉質の中に「骨片(こっぺん)」という小さな骨のかけらを持っています。

ところで、サンゴと呼ばれる生きものは、六放サンゴと八放サンゴに大きく分けられます。サンゴ礁を作るのは主に六放サンゴの仲間。ポリプの触手の数や骨格の作りが基本的に6の倍数です。実は、やわらかい体のイソギンチャクも六放サンゴの仲間です。それに対して、ソフトコーラルを含む八放サンゴはポリプの触手の数が8本。青い骨格のアオサンゴも、深海性の赤い宝石サンゴもこちらの仲間。つまり分類上は、骨を作るかどうかではなく、体の構造が6か8か、の方が重要です。そして「サンゴ」という言葉は、かなり多様な種類を含んだ呼び名なんですね。ぜひこの夏、いろいろな「サンゴ」の仲間を海で探してみてください!

ポリプを伸ばした先には白い触手、8本!

Vol. 78 ウミキノコ属の一種

 Sarcophyton sp.

ウミキノコの仲間、触手を出しているところ
ウミキノコの仲間、触手を出しているところ

● 目:ウミトサカ目 Malacalcyonacea

科:ウミキノコ科 Sarcophytidae

● 属:ウミキノコ属 Sarcophyton


撮影:ウネタケの仲間 2024年4月11日(浦添市伊奈武瀬)、6月23日(浦添市てぃだ結の浜沖)

   ウミキノコの仲間 2024年4月11日(浦添市伊奈武瀬)

   ソフトコーラルのポリプ 2023年3月6日(浦添市伊奈武瀬)

撮影・執筆
鹿谷麻夕(しかたに自然案内)

しかたに・まゆ 東洋大、琉球大卒、福井県立大大学院修了、東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。

2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。令和4年度沖縄県環境保全功労者、ジャパンアウトドアリーダーズアワード2024特別賞。