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沖国大ヘリ墜落事故、ネット上の矮小化危惧 「モバプリ」島袋さん 構内で目撃


沖国大ヘリ墜落事故、ネット上の矮小化危惧 「モバプリ」島袋さん 構内で目撃 沖縄国際大へのヘリ墜落事故に関するイベントで当時の経験を語る島袋コウさん=12日、沖縄国際大
この記事を書いた人 Avatar photo 梅田 正覚

 スマートフォンアドバイザーの「モバイルプリンス」こと島袋コウさん(37)=沖縄市=も、沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事故に遭遇した一人だ。当時高校生だった島袋さんは、入学願書を取りに訪れていた。構内では一緒に来ていた交際相手と会話をしようにも、大声を出さないといけないほどのヘリの爆音が響いていた。その時、目の前でヘリが墜落。とっさに考えたのは「爆弾が落ちた」。原爆が投下された広島を描いた漫画「はだしのゲン」の描写を思い出し、爆風でガラス片が飛んでくると思い、建物のそばに隠れ難を逃れた。

 提出期限が迫っていたことから、願書を受け取ると記入のためすぐに大学を離れた。当時は「車を走らせていたら、目の前で大事故が起きた」との感覚だった。

 墜落事故がはらむ、沖縄への過重な基地負担や日本の主権が侵される日米地位協定などの問題を考えるようになったのは事故後数年たってから。きっかけはインターネット上にあふれる基地問題に関するデマや誹謗(ひぼう)中傷に危機感を覚え、学び始めてからだ。

 墜落事故を振り返るニュースが流れると、交流サイト(SNS)では「交通事故で毎年数千人が亡くなっている。まずは自動車を全面禁止するべきだ」などと論点をずらし、事故を矮小(わいしょう)化する投稿が相次ぐ。

 そんな中、島袋さんは名護市の保守系市議、嘉陽宗一郎さんのSNSに注目する。嘉陽さんは昨年12月に発生した米兵少女誘拐暴行事件について「米軍基地の問題について、賛否分かれる問題と反対しかない問題があると考える。日米安保体制はわが国と東アジアの平和と安定に寄与しているものと理解しつつ、事件・事故が繰り返される現状に強い怒りを感じる」と投稿した。

 島袋さんは「(基地を容認する)保守系でも地元の人が被害に遭うような事案には、党派性に関係なく抗議することは当然だ。ヘリ墜落事故もイデオロギーに基づいてさまざまな枝葉の議論が出ているが、全く関係ない話だ」と指摘した。 

(梅田正覚)