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「基地の危険考えて」学生、無関心を疑問視 普天間閉鎖求める集い 沖国大ヘリ墜落20年


「基地の危険考えて」学生、無関心を疑問視 普天間閉鎖求める集い 沖国大ヘリ墜落20年 米軍ヘリ墜落事故時に焼け残ったアカギの前で意見発表をする学生の儀保裕一朗さん=13日午後2時すぎ、宜野湾市の沖縄国際大学(喜瀨守昭撮影)
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 沖縄国際大学で開かれた「普天間基地の閉鎖を求め、平和の尊さを語りつぐ集い」には学生や教職員らが参加し、米軍ヘリ墜落事故の継承や平和への思いを新たにした。校内では当時を知る関係者による講演や、学生らが参加した朗読劇もあった。同日も軍用機が近隣を飛行し、事故から20年が経過しても変わらない現状が垣間見られた。 

 墜落現場で開かれた集会では、学生代表2人が意見発表し、炎天下、沖縄の基地負担の不平等さや、県外の人に沖縄の基地問題に目を向けてもらう必要性を訴えた。現場を訪れた卒業生らもおり、当時を思い返しながら事故を継承する意義をかみしめていた。

 経済学部3年の儀保裕一朗さん(22)は沖縄に米軍基地が集中する現状について、日本本土の無理解や無関心を疑問視した。「状況を変えるには多数者側の本土の人々の沖縄に対する理解が何より重要だ」と指摘。「基地が必要と言うなら基地問題に向き合い、公平な負担をしてほしい。本土の安全のために沖縄が利用され、危険にさらされることを許してはならない」と訴えた。

意見発表する学生の儀保裕一朗さん=13日午後2時すぎ、宜野湾市の沖縄国際大学(喜瀨守昭撮影)

 基地問題は複雑でいろいろな意見があるとした上で「墜落事故や部品落下、騒音、海を埋め立てる基地など、沖縄にとっての不都合は、経済的・防衛戦略的価値を下回るものか」と疑問を投げ掛けたのは経済学部4年の謝花美生さん(22)。

 沖縄の未来を担うのは自分たち若い世代だとし「県内でも住む地域で基地問題に対する温度差があるが、一人一人が自分の住む地域に基地ができるとどんな危険があるのか意識し考えなければならない」と呼びかけた。

意見発表する学生の謝花美生さん=13日午後2時すぎ、宜野湾市の沖縄国際大学(喜瀨守昭撮影)

 当時、大学1年生だった中田未来さん(39)=名護市=は、「自分自身が忘れないように」と10年前からほぼ毎年参加している。節目の今年は家族5人で訪れた。「子どもと一緒に来ることに意味があると思う。目で見て耳で聞くことで、いつか平和について考えるきっかけになればうれしい」と願った。

 事故当時、同大の2年生だった新垣三和子さん(39)=浦添市=は、卒業後初めて母校の墜落現場を訪れた。墜落現場の説明板の写真やアカギの木を指さしながら、長女の江舞(えま)ちゃん(5)に事故を説明した。「帰りがけに、娘から『落ちたところが見たい』と言われた。少しでも状況が伝われば」と語った。

 (外間愛也、高橋夏帆)