名護市辺野古の新基地建設で大浦湾側のくい打ち工事が始まり、サンゴなどの海の生態系への影響も危惧されている。国は、県との事前協議を終える前にサンゴの移植を始めたが、記録的な猛暑の中、海水温の上昇で白化現象も起きている。専門家は「最悪の時期に最悪の環境下で移植が進められている」と批判した。
今回の本格着工について、サンゴ移植に詳しい東京経済大学の大久保奈弥教授は、環境への影響を全く考えずに押し進めていると批判。作業現場に設置された汚濁防止膜は「100%の対策ではない。移植も(サンゴの)損傷だ」と話した。
また、高水温の影響からオーストラリアでの大規模白化を筆頭に、県内でも浦添市の西海岸や本部半島沿岸で白化が確認されている。大久保教授は「一番生残率が低くなる時期になぜ移植をするのか。それを環境監視等委員会が許可したこと自体が、歯止めがきかない状態だ」と指摘した。
同委員会が5月にまとめた移植後モニタリングの報告書でも、死亡群体について「1年後の被度、群体数の減少要因に2022年度夏の高水温による影響があると推定される」と認めている。
(小浜早紀子)