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「最悪の時期に最悪の環境下でサンゴ移植」 辺野古・大浦湾くい打ち着工 専門家ら批判 沖縄


「最悪の時期に最悪の環境下でサンゴ移植」 辺野古・大浦湾くい打ち着工 専門家ら批判 沖縄 辺野古沖の海中に広がるサンゴの大群集。ひしめくように並ぶアオサンゴやエダサンゴなどが多様な生物を育んでいる=10日、大浦湾の水深約5㍍
この記事を書いた人 Avatar photo 小浜 早紀子

 名護市辺野古の新基地建設で大浦湾側のくい打ち工事が始まり、サンゴなどの海の生態系への影響も危惧されている。国は、県との事前協議を終える前にサンゴの移植を始めたが、記録的な猛暑の中、海水温の上昇で白化現象も起きている。専門家は「最悪の時期に最悪の環境下で移植が進められている」と批判した。

 今回の本格着工について、サンゴ移植に詳しい東京経済大学の大久保奈弥教授は、環境への影響を全く考えずに押し進めていると批判。作業現場に設置された汚濁防止膜は「100%の対策ではない。移植も(サンゴの)損傷だ」と話した。

 また、高水温の影響からオーストラリアでの大規模白化を筆頭に、県内でも浦添市の西海岸や本部半島沿岸で白化が確認されている。大久保教授は「一番生残率が低くなる時期になぜ移植をするのか。それを環境監視等委員会が許可したこと自体が、歯止めがきかない状態だ」と指摘した。

 同委員会が5月にまとめた移植後モニタリングの報告書でも、死亡群体について「1年後の被度、群体数の減少要因に2022年度夏の高水温による影響があると推定される」と認めている。

 (小浜早紀子)