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対馬丸事件80年「口止め」情報統制、今も 日米が軍事同盟を強化、国民の知る権利を制限 


対馬丸事件80年「口止め」情報統制、今も 日米が軍事同盟を強化、国民の知る権利を制限 

 国会議事堂

この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 沖縄海域で攻撃される危険を伏せられ、疎開させられた対馬丸の県民を含む多くの人々の命が奪われた。生存者や遺族まで口止めされる。「改正軍機保護法」などに基づく情報統制の結果だった。1945年の敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の命令で、同法などの治安立法は廃止されたものの、日米が軍事同盟を強める現在、日本政府は再び国民の知る権利を制限する法整備を進めている。

 安倍政権だった2013年に強行成立された「特定秘密保護法」が象徴だ。安全保障に関する情報を政府の判断で「特定秘密」に指定する。今年の国会では、経済安全保障分野に対象を広げる「重要経済安保情報保護・活用法」ができた。国による民間人の身辺調査も許す内容だ。

 政府は現在、「偽情報対策」の法整備も検討している。政府の検討会では「戦前も内閣情報局で対策していたが、大政翼賛的な社会の中で政府の情報自体が誤っていった」と統制強化を懸念する意見が出ている。

(南彰)