有料

「生きていたら94歳に」 1歳上の姉、慰霊祭で弟思い 対馬丸撃沈80年


「生きていたら94歳に」 1歳上の姉、慰霊祭で弟思い 対馬丸撃沈80年 対馬丸慰霊祭に参列後、娘の伊波純子さん(右)と対馬丸記念館を訪れた金城米子さん=22日、那覇市若狭の対馬丸記念館
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 優希

 うるま市から訪れた金城米子さん(95)は娘と一緒に慰霊祭に参加し、第2会場の最前列に座った。那覇国民学校の生徒で当時13歳だった1歳年下の弟、東恩納盛喜さんが対馬丸に乗船し、命を落とした。「生きていたら94歳になるんだね。年も年だしもう来られないかもしれないけど、ちゃんと成仏して」と手を合わせた。

 学校では学童疎開が呼びかけられ、盛喜さんや隣近所の子どもたちも船に乗った。乗船当日、金城さんは仕事で見送りに行けなかった。

 数日後、対馬丸が魚雷攻撃でやられたという話が聞こえてきた。弟の状況が知りたくて、対馬丸の生存者がいるという自宅に行ったが、憲兵が立っていて会うことができなかった。弟は帰ってこなかった。

 慰霊祭終了後、対馬丸記念館で弟の写真を探した。金城さんは「戦争はなくなればいいのにと思うが、次から次へと起こる。私たちからしたら考えられない」と話した。

 (中村優希)