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「対馬丸」生存者や遺族がリレー講話 記念館20年 22日まで企画展も 沖縄


「対馬丸」生存者や遺族がリレー講話 記念館20年 22日まで企画展も 沖縄 開館20年のリレー講話で、体験を語る髙良政勝さん=1日、那覇市若狭の同館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 1944年8月22日に起きた「対馬丸撃沈事件」の悲劇を伝える対馬丸記念館(那覇市若狭)で、開館20年の歩みを伝える特別企画展「お帰りなさい!対馬丸の子どもたち」を開催している。9月22日まで。生存者や館を運営する対馬丸記念会の関係者による連続講話もある。1日は、記念会代表理事の髙良政勝さん(84)が4歳で体験した事件や、戦意高揚を図りたい日本政府が撃沈の事実について語ることを禁じた戦中の状況などを伝えた。

 特別企画展では、館の歩みを振り返る年表や人物、逸話などを紹介するパネルを展示する。写真や10・10空襲罹災証明書など、普段は一般公開されていない資料もある。

 髙良さんの講話は、およそ100人の来場者が聞いた。髙良さんは家族11人で、疎開者を乗せた「対馬丸」に乗船した。対馬丸は米軍の魚雷攻撃を受け、髙良さんは両親ときょうだいを失った。政府は生存者に関わる情報も含め、かん口令によって遺族らが語ったり、書いたりすることを禁じた。講話では、鹿児島にいた兄が、髙良さんが生きていることを沖縄の家族に伝えるため、船員らに手紙を託した状況などを伝えた。

 質疑応答で、先島の住民を九州に移動させる現在の国民保護計画について、参加者から対馬丸撃沈事件と重なるとの声があった。髙良さんも「私も非常に危険で怖いと感じる。避難させるかどうかよりも、対話で対処してほしい」と願った。

 7日は遺族で記念会副理事長の渡口眞常さんが「館20年の歩み」、8日は遺族で常務理事の外間邦子さんが「姉二人の思い出と戦後の父母」、22日は生存者の照屋恒さんが「僕の対馬丸体験と戦後」の演題で、それぞれ講話する。いずれも午後2時から。問い合わせは記念館、電話098(941)3515。木曜休館。