昨年の米軍関係者(軍人・軍属・家族)による刑法犯の摘発件数が県内、全国ともに過去10年で最多を記録していた。一方、1995年の少女乱暴事件を受けて米軍事件・事故の通報体制の見直しがあった97年から2023年までの警察庁の統計からは、米軍の置かれた環境の変化が、米軍関係者の刑法犯摘発件数の増減と連動していることも読み取れる。
警察庁の統計によると、97年からの26年間で摘発件数が最多となったのは、米国が大量破壊兵器保有を理由にイラク戦争に踏み切った2003年。全国での摘発件数は194件で、このうち112件を県内での摘発が占め、割合は全体の57・7%に達した。同年の性犯罪(不同意性交罪、不同意わいせつ罪に相当)での摘発件数は全国で8件、うち半数を県内(4件)での摘発が占めた。
04年(全国151件、県内59件)、05年(同146件、同66件)はともに高水準だったが、その後は減少傾向に転じた。13年に全国の件数が100件を割り込んで前年比30%減の83件、県内の件数が同40・8%減の32件となってからは、21年まで9年連続で100件を下回った。
県内の件数も23~48件で推移した。一方、米軍の事件防止を図る枠組みとしては国や県、基地関係市町村、県警、米軍などが参加する「米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム」(CWT)があり、00年から年におおむね一度の頻度で開かれ、米軍事件への対応を協議してきた。
ただ、CWTは17年4月以降は開かれておらず、6月以降の米兵事件の相次ぐ発覚を受けて、米軍側がCWTに代わる新たな協議の枠組み「フォーラム」の創設を打ち出しており、先行きは不透明な状況となっている。
(安里洋輔)