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代執行めぐる承認取り消し、沖縄県の被告適格認めず 辺野古住民の抗告訴訟を却下 那覇地裁が初の司法判断


代執行めぐる承認取り消し、沖縄県の被告適格認めず 辺野古住民の抗告訴訟を却下 那覇地裁が初の司法判断 那覇地裁(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 名護市辺野古新基地建設の設計変更申請を巡り、2023年12月に国土交通相が県に代わる史上初の「代執行」で申請の承認に踏み切ったことを受け、辺野古の周辺住民ら30人が県に対して国交相の承認取り消しを求めた抗告訴訟で、那覇地裁(片瀬亮裁判長)は17日、被告の県について「被告適格を欠く」として原告の住民側の訴えを却下した。

 片瀬裁判長は判決で「変更承認処分をした行政庁は国交相である」と指摘。訴えは「国交相が所属する国を被告として提起しなければならない」とし、県は「被告適格を欠く」ために「不適法」とした。

 原告団によると、代執行の処分権者についての司法判断は初めてとみられる。住民側は同判断を判例にすることを視野に、最高裁まで争う構え。

 訴状では、沖縄防衛局の設計変更申請について、国交相が県知事に代わって行った代執行による承認を違法とし、国に執行権限を奪われた形となった県に承認取り消しを求めた。

 住民らは国を被告とする同種抗告訴訟も提起しており、那覇地裁で係争中。原告団の中村昌樹弁護士によると、県と争う本訴訟については「県が代執行の主体にならないことを確認するための訴訟」と位置づけ、地方自治法に基づく代執行の処分権者を明らかにするために控訴、上告する方針という。

 玉城デニー知事は判決を受け「辺野古周辺の住民にとって国による代執行承認処分が取り消されるか否かは重大な問題だ。裁判所は原告の訴えを真摯(しんし)に受け止め、公平・中立に審理することを期待している」とのコメントを発表した。