沖縄市出身の映画監督・仲村颯悟さん(28)がこのほど、首里城火災から5年が経過するのに合わせ、短編映画「誰かが夜と決めたのさ」を制作した。首里城の焼失で多くの県民が抱いた「喪失感」を、主人公の小学生とキジムナーの物語で表現した。10月31日から、ユーチューブで無料公開している。
自分の気持ちを隠しがちな主人公ユカが、緑豊かな近所の公園でキジムナーに出会うところから物語が始まる。「もうすぐ死ぬ」と告げるキジムナーと、揺れ動くユカの感情が、県出身アーティスト「いーどぅし」の楽曲に乗せられていく。
仲村さんは10代の頃から映画監督として活動し、「やぎの冒険」や「人魚に会える日。」などの作品がある。福島県にいた5年前、首里城火災をテレビで目にし、すぐさま沖縄に帰省した。焼け焦げた正殿を見つめる人たちの姿を前に、「この喪失感を忘れないようにしたい」と感じ、映画を作ることを決意。火災から4日後にはシナリオを書き終えた。
仲村さんは「たとえ姿を見ることができなくとも『そばにいる』と感じさせてくれる人がいるように、首里城も県民の心のどこかにあるような気がした。再建を待ち望んでいる世界中の人に届いてほしい」と話した。
映画はユーチューブのチャンネル「RYU―GOATS」で視聴可能。
(石井恵理菜)