辺野古新基地で国が沖縄県に是正指示 「屈辱の日」に 県内から批判噴出


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名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=2022年3月17日午後0時14分、航空機より撮影

 斉藤鉄夫国土交通相は28日午後、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古新基地建設工事を巡り、沖縄防衛局が申請している設計変更を5月16日までに承認するよう、県に是正を指示した。地方自治法に基づく是正指示は法的な拘束力を持つ。4月28日は、沖縄が日本の施政権から切り離された1952年のサンフランシスコ講和条約から70年の節目に当たり「屈辱の日」とされる。承認の期限も沖縄の日本復帰50年を迎える5月15日の翌日となった。県内では「県民に対する気遣いが全くない」(県幹部)などと、批判が噴出している。

 県による設計変更申請の不承認に対し、沖縄防衛局は昨年12月、国交相に行政不服審査法に基づく審査請求を提出。国交相は今月8日、県の不承認判断を取り消す裁決を出した上で、20日までに設計変更を承認するよう県に勧告していた。勧告に対し、県は「精査した上で対応する必要がある」として判断を見送っていた。

 政府関係者によると、国土交通省は20日以降、是正指示を出す方針を固めていたが、時期を慎重に見定めていた。

 関係者は「復帰記念式典や、政治日程を考慮した上で、指示の期限を5月16日に設定した」としている。

 県は国地方係争処理委員会への申し立てや、不承認取り消し裁決の取り消しを求める訴訟など、対抗措置について慎重に検討を進める。玉城デニー知事は28日「今後、正式に是正の指示が届いた後、関係部局で内容を確認し、裁決書の精査結果も踏まえ、どのような対応をすべきか検討する」とのコメントを出した。是正指示や期限の時期など国側の対応に評価はしなかった。

 斉藤国交相の是正指示が公表されたのは、28日午後2時。衆院本会議で沖縄の日本復帰50年に関する決議が可決された直後だった。本会議で岸田文雄首相は「沖縄の皆さんの心に寄り添い、基地負担軽減の目に見える成果を一つ一つ着実に積み上げていく」などと述べていた。

(池田哲平、安里洋輔)


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