旧優生保護法下の強制不妊手術を巡り、最高裁が3日、旧法を違憲とし、国の賠償責任を認めたが、当事者が名乗り出られるか心配する声もある。ハンセン病問題ネットワーク沖縄共同代表で回復者の平良仁雄さん(85)は「差別がある中、申請をためらう人がいないか」と述べた。日本弁護士連合会(日弁連)は16日に全国一斉の電話相談を実施する。
ハンセン病患者も旧優生保護法下で不妊手術の対象とされた。平良さん自身は免れたが、療養所では不妊手術が結婚の条件とされたという。「病気が治っても療養所を出られない一因に、一緒に暮らせる子どもがいないこともある」とする。
差別と偏見は根強いと感じている。「療養所にいたことを知られてはいけない」。そう恐れる気持ちが回復者みんなに共通の「後遺症」と平良さんは指摘する。
自身は、国の責任逃れの姿勢に憤り、「正面から言おう」と決意した。「国が悪いのに、不妊手術を恥と思って申請できない人もいるのでは」と心配する。
沖縄弁護士会人権擁護委員会の上原智子委員長は、県が手術の記録を探し、実態を明らかにすることを求めている。「高齢の当事者が名乗り出るには、家族や支援者の助けがいる」とも指摘。電話相談の利用を呼びかけている。電話相談は16日午前10時~午後4時に受け付ける。電話0570(07)0016。
(宮沢之祐)