有料

辺野古抗告訴訟、二審も沖縄県敗訴 適格性認めず 高裁「却下すべきもの」デニー知事「極めて残念」


辺野古抗告訴訟、二審も沖縄県敗訴 適格性認めず 高裁「却下すべきもの」デニー知事「極めて残念」 福岡高裁那覇支部
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の設計変更申請を巡り、県の不承認処分を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして県が処分の効力回復を求めた抗告訴訟の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は2日、訴訟提起の適格がないとした一審那覇地裁判決を支持し、県の訴えを退けた。一審判決に続き、県の訴えを「不適法で却下すべきもの」と棄却した。 

 判決後、取材に応じた県側代理人の加藤裕弁護士は上告の判断について「県と協議する」と述べるにとどめた。玉城デニー知事は、「公平・中立な判決を期待していただけに極めて残念だ」とコメントした。

 三浦裁判長は判決理由で、行政事件訴訟法に基づく同種の抗告訴訟で、県に訴訟提起の適格がないと判示した2022年12月の最高裁判決を引き合いに、県に訴訟提起の「適格を有しないものと解するのが相当である」と指摘。抗告訴訟提起の適格性を認めないことは「地方自治の本旨」に反し、「固有の自治権の侵害」に当たるとの県の主張をいずれも認めず、承認の法定受託事務を「国が本来果たすべき役割」とした。

 承認処分を巡る県と沖縄防衛局との間の争いが「法律上の争訴」であるとする県の主張を「検討するまでもなく、本件訴えが不適法なものである」と退けた。

 これまで計14件あった辺野古新基地建設に伴う埋め立てを巡る県と国との争いで唯一係争中の訴訟。2015年11月に国が県を提訴したのを皮切りに相次いだ訴訟ではこれまでに4件が和解や取り下げとなり、9件で県の敗訴が確定した。

 一方、関連訴訟では、辺野古の周辺住民が原告となった抗告訴訟で、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)が5月、一審那覇地裁判決を破棄し、市民4人の原告適格を認めている。同訴訟では被告の国が上告し、最高裁が受理するかどうかを判断する。