8日に投開票された宜野湾市長選は、2012年から18年8月まで2期務めた無所属元職の佐喜真淳氏(60)=自民、公明推薦=が、無所属新人で前市議の桃原功氏(65)=立民、共産、社民、社大推薦=との事実上の一騎打ちを制して、約6年ぶりに市長に就く。宜野湾市長選は保革一騎打ちの構図が続いており、今回も他市町村の支持者も巻き込んだ保革両陣営の総力戦が展開された。選挙結果は今後の県内政局や基地問題に影響を与えそうだ。 (’24宜野湾市長選取材班)
宜野湾市長選で米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を容認した佐喜真淳氏(60)=自民、公明推薦=が勝利したことを受け、政府は工事をさらに推進する構えだ。辺野古新基地建設が普天間返還と一体であることを強調するため、跡地利用計画の策定や土地の先行取得に関する協力を加速させる見通し。だが、実際は返還期日もいまだに示されず、不透明な状況が続く。
辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票や、玉城デニー知事の当選など新基地建設に反対する世論が示される中、移設容認を打ち出す地元市長の存在は、政府が工事を進める後ろ盾となってきた。保守市政の継続をよりどころに、国は移設推進の姿勢を鮮明にするとみられる。
佐喜真氏が辺野古新基地を容認したのは「普天間飛行場の一日も早い返還」につながると捉え、他に方策がないと判断しているからだ。
だが、肝心の新基地建設は政府の代執行による設計変更承認を経て大浦湾側の工事に着手してもなお視界不良が続く。
政府は大浦湾側の工事を始めた1月を起点とし埋め立てに9年3カ月、米軍が使用できるようになるまでに12年かかると見積もる。
だが、米軍が使用できる状態になったとしても、その後の返還がいつになるのかは防衛省自身も見通せていない。工事が長引く可能性も指摘される。
新市政は、今後も長期間維持され続けることが見込まれる普天間飛行場から派生する諸問題と向き合い続けることになる。
(明真南斗、知念征尚)