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振興、基地問題への考えは?<衆院選2024沖縄 政党座談会>詳報2/4


振興、基地問題への考えは?<衆院選2024沖縄 政党座談会>詳報2/4 辺野古新基地建設で多くの作業船が集まる大浦湾=7月3日、名護市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

15日公示、27日投開票の衆院議員選挙に向け、琉球新報は10日、県内政党の代表者ら9人を招いた座談会を開き、総選挙の意義や争点を議論した。与党の自民、公明は連立政権による安定した政権運営の必要性を強調した。立民や共産、社民、社大の「オール沖縄」勢力のほか、維新、れいわ、参政の国政野党は自民派閥の裏金問題や統一教会問題などによる政治不信の高まりを指摘した上で、政権交代の必要性を訴えた。安全保障政策や国政評価を巡って意見が分かれた。(文中敬称略)

地方分権体制に移行 維新 山川泰氏
制度設計も沖縄自ら 社民 新垣氏
新たな産業誘致必要 参政 和田氏

 ―沖縄振興計画の現状と評価は。

 屋良 地場産業を育て、県民所得を上げる道筋がいまも明確になっていない現状が問題点だ。従来の制度の良いところは残しつつ、産業発展を大胆に進める計画に明確にかじを切るべきだ。

 山川泰 経済も基地問題も解決するために、振興計画の仕組み自体を変える必要がある。中央集権体制から地方分権体制に変え、自治体の事務権限、財源を移行し、地方の自立を図る。

 上原 県民の思いに向き合った強い沖縄経済の実現や方向性が必要だ。加えて、国会での決議や県の外交基本方針で言及している平和創造拠点についての具体的なビジョンを示すべきだ。

 赤嶺 第一に政府に改めてほしいのは、基地と経済をリンクさせるやり方だ。適正な規模と政府はいうが、河川改修や学校の老朽化などが進んでいる。基地とリンクさせず、実現すべきだ。

 山川仁 特措法の目的、制度の責務を順守すれば、沖縄県民はもっと笑顔になっているはず。継続すべき観点もあるが、さらに県民目線の生活を担保する根拠法に見直していくべきだ。

 新垣 ある程度継続は必要だ。見直しや新たな制度設計を視野に入れ、沖縄自ら考えていく沖縄振興が極めて重要だ。政策提案をしながら、沖縄自らが予算を取るという姿勢も重要だ。

 和田 一定のインフラ開発で都市としては見劣りしなくなった。県民所得を上げるには産業活性化が必要。熊本が半導体産業を誘致したように新たな産業誘致を国会で訴えていきたい。

 高良 南の玄関口や日本経済の起爆剤というが政府の本気度が足りない。税制の仕組みを変える必要がある。消費税は地方税にするような、それぐらい大胆なことが必要だ。

 花城 県民目線の検証が必要だ。沖縄の抱える特殊事情をどのように評価するか。なお残る根本的な課題は何か。不利性を抱える島嶼(しょ)地域の振興はどうあるべきかを政府与党に訴えたい。

県内政党代表者ら=10日、那覇市泉崎の琉球新報社(大城直也撮影)

負担軽減の道筋示す 公明 上原氏
戦場前提よりも対話 共産 赤嶺氏
「辺野古」は思考停止 社大 高良氏

 ―基地・安全保障政策についての考え方は。

 山川泰 憲法9条の範囲内で自衛のための防衛力は必要だと考える。負担軽減として米軍訓練の全国への移転や、自衛隊基地の米軍との共同利用などの案を考える必要がある。

 上原 地域の安定のため、外交力と防衛力をバランスよく強化することを期待したい。国と県の対立を終わらせ、基地負担軽減を実感できるよう、道筋を示すことが最優先だ。

 赤嶺 辺野古新基地完成の時期も、普天間返還の時期も政府は明らかにしていない。避難計画など、沖縄が戦場になることを前提に考えるよりも、周辺諸国との対話外交を求めるべきだ。

 山川仁 政府は結果の出せない政治で税金を無駄に使い、軍事産業に日本を売り渡すような考えだ。平和外交を進め、日米地位協定や安保政策を、米国と対等な立場で変えていく。

 新垣 辺野古反対は県民の民意だ。辺野古は唯一の解決策だと固執して、普天間の危険性の放置が正当化されてはならない。外交による安保政策で緊張緩和を図っていくべきだ。

 和田 沖縄は本土復帰し、日本に戻ったが、その日本もアメリカのかいらいのような状態が続いている。自民党政権が続けてきた、日米地位協定を変えていかなくてはならない。

 高良 辺野古が唯一という思考停止がまん延している。県民は物理的な基地負担だけでなく、生活や精神的な負担も大きい。沖縄の基地負担は全国平等で変えなくてはならない。

 花城 昨年の最高裁判決以降、直近の県議選では辺野古移設は争点にならなかったと思う。アジア太平洋地域の安保環境は厳しい。有事への対処など重要な課題に取り組んでいきたい。

 屋良 現在の安全保障政策は、抑止力ばかりに頼っている。安保環境に問題があれば、改善するのが政治の責任だ。地位協定などについて、沖縄から新たな議論を起こしていく。

【出席者】
花城大輔氏(自民党県連幹事長)
屋良朝博氏(立憲民主党県連副代表)
山川泰博氏(日本維新の会県総支部幹事長)
上原章氏(公明党県本代表)
赤嶺政賢氏(共産党県委委員長)
山川仁氏(れいわ新選組県第4区総支部長)
新垣邦男氏(社民党県連顧問)
和田知久氏(参政党沖縄1区国政改革委員)
高良鉄美氏(社大党委員長)
司会 新垣和也(琉球新報社政経グループ長)